第六十四話『協力シナイカ』 ページ24
敦「芥川……」
『人虎……ッ』
顔を歪める敦だが、歯を食いしばりその場に突っ立て居るだけ。芥川に襲い掛かろうとはしない
『如何した人虎。お前が憎いと思っている奴が目の前にいるぞ?』
敦「……鏡花ちゃんが云っていた」
『また鏡花か……お前は何時も人の云う事を気にして』
敦「それだ」
芥川の言葉を遮るようにして敦が声を上げる
敦「いつもお前はそうだ。僕を組合に渡すと思ったら助け、殺すと云いながら手加減し……僕に助言する。何故だ?」
『……自惚れるな、僕は……貴様を殺す。それだけだ』
咳をして敦を見つめる芥川
敦の目は敵意も何も無い、憐れむような瞳を彼女に向けていた
『……何だその瞳は。気に入らん』
羅生門を出し敦に向ける
しかし貫くことはなく敦の顔のギリギリで止めた
『何故……何故お前は怯えない!?何故、僕と戦う気は無いんだ!?』
敦「お前だって戦う気は無いだろ?……自惚れてるのはそっちだ。自分一人で何でも出来ると思っているのか」
『……何?』
敦「今、探偵社とポートマフィアは停戦状態で尚且つ、目的は同じ。だから芥川……
────協力しないか?」
驚きが隠せずに目が泳ぐ芥川
敦の決意の篭ったあまりに強い眼差しに何も云えない
敦「太宰さんが、お前と話したいと云ってる」
イヤホンと端末を芥川に投げた。敦は其の儘、走り出す
芥川は震える手でイヤホンを耳にはめた
‹ 太「やあ、芥川君。約束通り君の使命というのを壊してあげたよ」 ›
『……何なんですか貴方は。僕の、私の計画を……これ以上壊さないで』
声も震える芥川に太宰は微笑んだ
彼女は混乱していた。こんな事態になるなんて思っていなかったからだ
‹ 太「さっきの敦君の言葉。意味、判るね?」 ›
『判りますよ。にしてもあの瞳……彼、強くなりましたね』
‹ 太「ん〜、君もまだまだだねぇ」 ›
判らなくて首を傾げる。“まだまだ”?何の事なのだろうか
‹ 太「さっきの敦君、かなり我慢して君と話してたよ?」 ›
『……は?』
‹ 太「きっと今、震えている頃だね」 ›
『あれは強がって無理して云ってたという事?』
‹ 太「云っていた事は本心だけどね?
私が、芥川君と対等に話すなら恐がらずに偉そうに話せば大丈夫だよって云ったんだ」 ›
『……彼奴、頑張ったんだな』
溜息混じりに云い、項垂れた芥川だった
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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時