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第五十六話『手離シテシマウ』 ページ16

芥川はなんとか彼等
──双黒の元へと辿り着いた



彼女が来た時にはとっくに小屋の前の敵は片付けられており、太宰と中也は小屋に入る前だった





中「なぁ、芥川。“絶対安静”って言葉を知ってっか?」



『動かず、静かに寝ていなさい、という意味です』



中「なら本部で寝てろや、手前ッ!!」



太「ちょっと中也、Aちゃんを苛めないの」



中「手前はいつもいつも芥川の肩を持ちすぎだ青鯖」


太「ちっちゃいのに何様のつもりだい?蛞蝓」




ああ云えばこう云う。原作以上にヒートアップする喧嘩
芥川はうんざりしながら小屋の階段を降りて行く




太「Aちゃあん、このチビがぁ』



中「黙れ。その汚い手で芥川を触るな」



『そんな茶番はいりません。早く行きましょう』



中「……」



太「……」




二人はごもっともな事を云われ、撃沈
芥川は手に持っていた白い外套に腕を通し最後の段を降りた




『……久作』




芥川の視線の先には木に囚われた弱々しい久作の姿。芥川は久作に近付き頭を撫でた
太宰と中也は原作通りの茶番をしていた
そして太宰が久作の喉元にナイフが当てられる




太「……止めないの?」



中「首領には生きて連れ帰れと命令されている。だがこの距離じゃ手前の方が早え


それにその餓鬼見てると詛いで死んだ部下達の死体袋が目の前をちらつきやがる



……やれよ」



太「そうかい。Aちゃんは……Aちゃん?」



『え、あぁ……僕は、その』





視線を逸らし、口篭る





『(……私は、如何すればいい?)』



太「……じゃ、遠慮なく」




太宰が左手を振り上げザクっと木を刺した
芥川は何も云えず久作の手を握った




『(僕は……誰かに云われた事しか実行出来ないし……のか?)』




今までの行動だってそうだ。原作があったから、この先の未来が判るから行動出来たことだ


しかし組合編しか物語を判らない芥川はこの先如何行動すればいいか判らない


……また、あの時のように









─────「もっと俺を頼れ、芥川」








また、大切な人を手放してしまうのか
拳を握り締めて唇を噛む




太「Aちゃん」



『……あ、あぁ大丈夫です』



中「……大丈夫ならさっさ行くぞ」




中也の方を向くと久作をおぶって階段を登っていた


何時の間に久作を助けたのだろうか?


そう思いながら芥川も後を追おうとするが、太宰に手を掴まれ阻止されたのだった


.

第五十七話『甘エルナ、愚者メ』→←第五十五話『忠実ナ狗』



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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時

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