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第五十五話『忠実ナ狗』 ページ15

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―――





『今夜、中原幹部がQの奪還に向かう、ですか。何故それを僕に?』



森「幹部には報告をしておこうと思ってね」



『……判りました。では僕はこれで』




首領室で芥川は森に深く頭を下げて部屋を出ようとする。が、名前を呼ばれた




森「もしマフィアに太宰君が戻って来たら……君は如何する?」



『……この幹部の座を太宰さんに返し、僕は此処から出て行きます』




振り返って森を見る
森は芥川の発言が予想外だったのか驚いた顔をしていた




森「銀ちゃんを置いてかい?」



『銀には付いていくか此処に残るか選ばせますよ
まあ所詮、僕は……太宰さんの((森「芥川君」……?』



森「君は太宰君では無い
太宰君が君にマフィアのイロハや敵の戦術の見破り方、拷問の仕方、相手の心理の読み方など色々な事を頭に叩き込まれたとしても、君は……





────太宰君になれない」




芥川の目が見開かれる。太宰の代わりだとずっと思っていた芥川は目をぱちくりとさせ森を凝視していた




『……それ、は』



森「現に君は太宰君を超えたことがないだろう?」



『……それでも僕は貴方やマフィアの為に』



森「……でも確かに君は太宰君に似ている」




そこでハッと気付く
森の本当に云いたい事に……




『……僕が貴方の頸を掻き切るとでも?』



森「真逆?首領に忠実な幹部が私の息の根を止めるようなことはしないだろう」



『しかし貴方は太宰さんを懼れたのでしょう?彼が自分の喉笛を掻き切るのでは無いかと』



森「……それは今日、本人にも云われたよ。しかしあの時の彼はその意志は無かった……だが今は判らない。それに……」




冷たい視線が芥川に注がれる
芥川はそんな森の瞳をじっと見つめる




森「太宰君の指示なら如何だい?
君は太宰君の忠実な狗……彼が芥川君に私を殺すように指示したら、君は間違いなく((『首領』……」



『私を此処から追い出したいのですか?』



森「それは……」



『夏目さんが昔、仰っていました。無益な殺しはするなと……私が首領を殺す事は無意味です』




黒い瞳が森を映す
森は眉間に皺を寄せ口を閉じていた




『私の使命はこの街の均衡を保つこと。この世界に本当の幸せを呼び寄せ、護ること


……それを乱す者を凡て壊すこと、です。貴方が死んだら街の均衡は保てません』




なので、と言葉を繋ぎ森を見つめる




『貴方は生きてないと私は……困るんです』



―――


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第五十六話『手離シテシマウ』→←第五十四話『彼奴ハ予定デナク理想』



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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時

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