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第七十六話『幕閉ジ』 ページ36

夜叉の刀で足首の鎖を切って脱出した鏡花
敦は彼女に駆け寄り思いっきり抱きついた




鏡「……痛い」




そう呟きながらも嬉しそうな鏡花の表情が見えた




太「街は救われた。敵は打倒された。鏡花ちゃんは合格した
不安もあったが巧くいって善かったよ」




そうだ。あの不安で仕方がなかった組合戦が終わったのだ
髪ゴムを取りボサボサの髪を整える




『……終わった』



太「お疲れ様、Aちゃん」



『だから名で呼ぶなとっ!?』




正面から思いっきり抱き締められる
痛い、苦しい、暑苦しい……でも




『(……温かい)』



太「またひとつ。君の使命が果たされたみたいだねえ」




セミロングの黒い髪を弄りながら優しく呟く
するとつんつんと外套を引っ張られる




『……?鏡花?』



鏡「……A、私……頑張った」




そう云って両手を広げる……控えめに云って天使だ
しょうが無い奴だ、と思ってもいないことを呟いて優しく抱き締める




『よく頑張った』



鏡「うん」



『怪我は無いか?』



鏡「手が痛むけど貴女に比べれば平気」



『強がりめ』



鏡「それは貴女も」



『……ふん』




わしゃわしゃと彼女の髪を崩す
鏡花はキョトンとした顔で芥川の顔を見つめる




『……合格おめでとう。
そして生きる希望を捨てないでくれて、ありがとう』



鏡「……っ、うん。あり……がとう」



『音を上げて帰ってくるなよ』



鏡「……うん」




寂しそうな顔の鏡花の頭を撫でて立ち去ろうとする
……が、待ってましたと云わんばかりにガシッと肩を掴まれた




『ん?誰……』



与「芥川ァ、怪我してるんじゃないのかい?」



『うわぁ……』



太「ぷっ……顔が凄いことに」




周りには何時の間にか探偵社員が全員集まっていた
そして笑う包帯野郎を睨み付ける




『お前か!僕が怪我をしていると云ったのは!』



太「え?何の事?」



『恍けやがっ』



与「ほら、外套脱いで。治療の時間だよ」



『げっ、何をすグエッ!!』




与謝野は彼女の外套を剥がし太宰に投げた
首根っこを掴まれて引き摺られる芥川に手を合わせる敦
それを横目で見ていた国木田と谷崎までもが手を合わせていた




『手を合わせるのなら助けろォォォオオオ!!』




芥川の悲痛の叫びに誰も動かず

与謝野は上機嫌で芥川を探偵社の医務室で数時間も治療(?)されていたという



こうして横浜を巻き込んだ巨大な異能力戦争は幕を閉じた


.

第七十七話『料理スキルガ高イ』→←第七十五話『衝突ノ直前ニ』



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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時

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