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第三十話【本格的に動き出す】 ページ31

『ただいま〜』



「ただいま〜おやつ〜」



『乱歩君、手を洗ってうがいだよ』




直ぐ様、駄菓子に飛び付く乱歩君を引っ張る。
乱歩君は道中、猫に触ったり、花を当たったりと色々触るから本当に子供みたいだ。




「洗ったよ〜」



『私も洗ったよ〜!よぅしお菓子を』



「中里」




ポッキーを一口食べたら国木田君が不機嫌な顔をして近付いてきた。
首を傾げると彼は溜息を吐いた。




「何か忘れてないか」



『あっ……国木田君に悪戯してない』



「違う!」




目の前に一枚の紙がドアップで近付く。
なんか見た事あると思ったら……




『……あっ虎探し』



「夕方にも見廻りをすると云っただろう」



『え〜?云ったっけ?』




そう云うと国木田君の怒号が飛ぶ。
昨日も今日の朝も昼も云ったらしい。




『……しょうがないなぁ、おやつ食べたらいくよ』



「何を云っている。今すぐにだ」




首根っこを掴まれてズルズルと引き摺られる。
乱歩君に助けを求めても手を振るだけ。




『わーん!国木田君の鬼ぃ!理想主義ぃ!頑固頭ァ〜』



「つべこべ云わずに歩け!」




国木田君に背中を叩かれて渋々と歩く。

陽が少し傾いて眩しい。




『……くにきぃだ君よ〜』



「何だ?ヘタレ」



『もぉ、ヘタレじゃないよ!』



「お前もやれば出来るんだからさっさ本気を出さんか」



『おっ、国木田君が珍しく私を褒めた』



「ほら前をむいて歩け。人にぶつかるだろう」




さり気なく人にぶつからないように誘導してくれる国木田君は優しい。


商店街を通り、だんだん人気がない道へと出る。

道が赤く染まり風が吹く。




『……』




風の流れる方へと視線を向ける。




「如何した?」




国木田君が振り返って不思議そうに此方を見る。




『……何でもない』




ニコリと笑って国木田君の元へと走った。







これから物語が本格的に動き出す音がする。





ある青年は自分が死ぬ筈だった未来を少女に救われた




ある少年は組織から抜けず、ずっと孤独の中に生き続け




ある少女は過酷な運命を背負いながらも未来を進み




ある少年は差し伸べられた手を、希望を力強く掴んだ





この世界は理不尽で悲惨だ



手を伸ばしても小さい光は踏み躙られる





───そんなどこにでもありそうで、どこにもない物語









待ちに待った物語が始まる……





.

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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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