第三十九話【改めまして】 ページ40
「うふ、よろしくお願いしますわ」
「い、痛い。そこ痛いってば!ナオミごめん、ごめんって!」
谷崎潤一郎
能力名────“細雪”
その妹────ナオミ
ナオミちゃんは敦君が見ているのに気がつくと笑いながらマネキンの手を取り出し動かす。
それで敦君を押して転けさせたのだ。
「ぼ、僕を試すためだけに……こんな大掛かりな仕掛けを?」
『ふふ、この程度で驚いてちゃあ身がもたないよ?』
「いやいや!こんな無茶で物騒な職場、僕無理ですよ!」
まだそんな事を云うのか敦君よ。
仕方ない、あの手を使うか。
『うーん、敦君が無理と云うなら此方も諦めるしかないか』
私が残念そうに云うと敦君の表情が少し明るくなる。
そんな彼に爆弾を落とす。
『ならば、敦君が住んでる社員寮を引き払わないとなぁ』
敦君の笑みが消えた。
その代わりに私の顔に笑みが戻る。
『寮の食費と電話の支払い、君が着てる服の代金……結構あるけど大丈夫?』
その瞬間、敦君の目から涙が溢れた。
『あ、泣いた』
「中里、新入りを虐めたら駄目だろう」
『あははっ、そうだね織田作。反省、反省〜』
「反省してないだろ貴様」
「ああーん!兄様ぁ!」
「だから痛いってばぁ〜!」
敦君はこの時に悟ったらしい。
この職場で上手くやっていける自信がない……と。
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「すンませんでしたッ!」
敦君の家財道具の買い出しをしてその途中で私の好きな甘味処に寄った。
そして食事の最後、谷崎君の謝罪が飛び出した。
「その試験とは云え随分と失礼な事を」
「ああ、いえ良いんですよ」
「謝らなくてもいいぞ、谷崎。あれも立派な仕事だからな」
『そうそう、織田作の云う通り。それにしても国木田君も気障に決まってたよね〜!“独歩吟各”!』
国木田君の真似をするとまたもや拳骨。
彼は手筈通りにやったんだと叫んだ。
「ともかくだ小僧」
気を取り直した国木田君はお茶を飲みながら話を進める。
「貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに周りに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな。
俺も他の皆もそのことを徹底している。なあ中里」
『ひやっほう!!いけいけいけいけ!追いつけ、あ〜!
……しゃー!ゴォォォォルゥゥゥウウウウ!!!』
「黙れ!ここでゲェムをするな!静かにせんか!!」
国木田君はゲェムをしていた私の頭を叩いた。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時