第三十八話『導イテクレ』 ページ39
『ん……?待て、鏡花に聞かなかったか』
国「いや聞いたが……」
片手で額を覆い溜息をつく国木田に芥川は怪訝な顔で首を傾げる
『何だ、何が云いたい?僕を嘲笑っているのか』
国「いや、そういう訳では……」
太「では如何いう訳だい?」
国「 『 ギャァァァアアアア!! 』 」
急に現れた太宰に驚き悲鳴を上げる二人
太宰は妖しげな笑みを浮かべ芥川の頭をがっしりと掴む
太「君は何時まで此処に居座る気かな」
『いやあの、その……こっ、この国木田独歩が僕を引き留めた故に、帰れぬのだ!』
太「はいはい云い訳はいいから、出て行こうね〜」
内心、チッと舌打ちをして踵を返し扉へと向かう
「───ねえ、国木田の質問に答えないの?」
『え?』
声のした方を見ると乱歩が棒付きキャンディを咥えながら此方を見ていた。ビー玉のような綺麗な緑色の瞳をギラリと光らせていた
『あ、質問だったな……ゴホッ、僕は正真正銘、女だ』
国「ではその……男みたいな格好や口調は、趣味なのか」
与「ド直球だねェ」
『いや、趣味ではないが。その方が落ち着くから』
太「ちょっと、芥川君。なに頬染めてるの?えっ真逆、国木田君に惚れた?違うよね、ねぇ、聞いてるの?」
敦「太宰さんが壊れた……」
谷「国木田さんも顔赤くなってません?」
それぞれがいろんな方向に暴走しかけ、収拾がつかなくなると思われた。
……が、ピリリッと無機質に着信が響き、しんっと静まった
国「俺の着信……社長!」
画面を視認し焦りながら電話に出る。その様子を社員全員が固唾を呑んで見詰める
芥川はチャンスと思い、礼をして今度こそ扉を潜った
気配を消し、昇降機へ乗り込む。“閉”の釦を押し扉がゆっくりと閉まっていく
太「芥川君!」
が、扉が閉じる寸前で太宰が手を入れ無理矢理こじ開ける
『……はい?』
太「いや、少しね……Aちゃん」
真剣な顔で芥川を見詰める。彼女も鋭い目付きで彼の瞳を捉える
太「……これから頼むよ」
『……お任せ下さい。私は既に動いていますので御安心を』
太「おや、如何動いているのかな」
『判っているのに聞かないで下さい』
溜息をついて彼を見あげる
真剣な表情でも医務室での背筋が凍るような顔でも無い、にこやかな顔だった
太「敦君を導いてくれ」
芥川はその言葉に強く頷き笑みを零した
『勿論です』
.
第三十九話『危機感ヲ持テ』→←第三十七話『国木田ノ疑問トハ』
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らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» いいですね!私は忙しくてその日に食べれなかったです……(;_;) (2018年6月27日 14時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんの誕生日ケーキ食べましたよ(*´∇`*) (2018年6月25日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 私の一番の推しは太宰さんです!カッコイイですよね!! (2018年6月25日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんもいいですよね (2018年6月23日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 次巻に期待しましょう!それまで信じましょう(;_;) (2018年6月23日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむしろっぷ | 作成日時:2018年5月19日 20時