漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ19)

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第十八話『貴女トモ一緒ニ』ページ19

敦｢組合？｣

『貴様を狙っている奴等だ｡七十億ともなると余程貴様が欲しいようだな』

敦｢……それなのに僕じゃなくてそのストラップをあげる？お前､正気か？｣

『貴様が勝てば､と云った筈だ｡まぁ､元より僕は貴様を組合に渡す気なんて毛程も無いが』

疑わしい顔で芥川を見上げる敦
虎のストラップを懐に入れ､羅生門を仕舞い､敦の背中に乗せていた足を退ける

敦｢僕はお前が判らない｣

『貴様に理解されようと思っておらぬ』

敦｢お前……足に体重掛けてなかっただろ｣

『かなりの体重を掛けた積もりだったが､平気だったのか｡次は骨が砕くまで押し付けるとしよう』

くるっと敦に背を向け歩き出す

敦｢(今だ！)｣

自分に背を向けた芥川に飛び掛る敦

『遅い』

待ち構えていたように敦の真下から
大量の黒い針が伸びてきた

『羅生門───早蕨』

其の侭､彼を突き刺し真上と伸びる

敦｢ガハッ！！｣

『僕の背後を狙うなど命が百個あっても足りぬ』

溜息をつきながらその光景を見つめる

────ジャキッ

鏡｢お願い､何時ものAに戻って｣

『矢張りこうなる運命なのか』

鏡花が銃口を芥川に向ける
この場面は原作にも載っていた､ならば遣ることは一つ

───シュンッ

鏡花の持っていた拳銃を羅生門で斬り壊し
彼女の細い首を掴む

鏡｢うっぐっ……｣

『大人しく待っていればいいものを……お人好しだな』

鏡｢それ､は……貴女､も｣

光の篭った目で芥川を見る
何時の間に彼女はそんな目をするようになったのか

鏡｢私を気遣って湯豆腐作ってくれた｡髪を結ってくれた､優しくしてくれた｣

『姐さんからの頼み事だ､当たり前だろう』

鏡｢違う！｣

声を張り上げて芥川を睨む
芥川は彼女の声に驚いた

鏡｢彼の人だって私に優しくしてくれた｡クレープおいしかった､貴女とも一緒に食べたいって思った｣

『鏡花……』

鏡｢この船が向かうのは異国じゃない｡もう貴女に苦しい思いをさせたくない｣

『……如何いう』

鏡｢此処で終わらせるの｣

何時の間にか鏡花の右手には釦が握られていた
それを押した途端､ドゴォォオオンン！！と凄まじい音がして地下にあった爆薬が爆発した

『くっ､酷い爆発だ』

敦をゆっくり下ろし鏡花に預ける
彼はピクンっと肩を揺らして辺りを見渡す

敦｢あれ､僕……｣

『……僕の負けだ』

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