漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】

第三十三話『仲良クナイ』 ページ34

『ん……ん､ん』




嫌いな消毒液の匂いが鼻につく
太宰がマフィアに居た頃､どれだけ消毒液に世話になったか




『……拘束されている？』




天井を見ながら考える
組合の構成員が攻めてきてそれから──




｢おやァ目が覚めたかい？｣




この声に聞き覚えがある
そして原作を知っている芥川にはこの後の展開が判る




『やっやめろ､解体するな！僕はもう怪我などしてない！その鉈を下ろせ！』



｢……矢っ張り､アンタは只者じゃあないねェ｡大人しく治療されな｣




鉈を持つ女──与謝野晶子の目が光る




『ギャァァァァァァアアアアアアアアア！！！』




探偵社に芥川の叫び声が轟いた



━━━━
━━
━




『……』



敦｢……｣



国｢……｣



宮｢……Zzz｣




三人は力尽きたように机に突っ伏す
賢治に至ってはぐっすり熟睡していた




与｢腑甲斐無いないねェ｡妾の能力が無きゃ今頃揃って土の下だよ｣



｢工合は如何だ｣




声がした方を見ると武装探偵社社長､福沢諭吉が居た




国｢社長､申し訳ありません……俺が居ながら｣



福｢佳い､少し出る｣




敦は止めるが社長は出て行ってしまった
与謝野によると鶏冠に来ているよう……




『(……私は如何すればいいのだろうか)』




疑問に思いながら辺りを見渡す
すると扉が開き芥川の黒外套を持った太宰が入って来た




太｢敦君､芥川君｣




薄らと微笑み“おいで”と云いながら手を振る
今まで見た中で一番怖い手招きだ




敦｢は､はい！｣


『……』




同時に立ち上がり扉へと行き､通ろうとして立ち止まる｡敦と肩がぶつかったのだ




『おい人虎､そこを退け』



敦｢それはこっちの台詞だ､僕が先だったぞ｣



『そこはレディーファーストだろ』



敦｢男として振舞ってきた癖によく云えるな！｣



太｢そんな事で喧嘩しないの､ほら行くよ｣




太宰は自然と芥川の手を掴み引っ張る
彼女は不貞腐れながら渋々着いていく｡敦は太宰の横について歩いた




『……姐さんの処ですか』



太｢その通り､少し話をしようと思ってね｣



敦｢……いきなり襲ってきたりしませんよね｣



『何だ貴様､襲われたいのか？ならば僕が喜んで斬り刻もう』



敦｢いや違うだろ！？｣



太｢なに二人とも……何でそんなに仲良いの？｣



敦｢『 仲良く ありません！/ない！ 』｣



太｢……へぇ､そぅ｣




じっとりと敦を睨み付ける太宰
彼は目を泳がせ後ろへ逃げたのだった


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