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swim10 ページ10

次の日登校した私が目にしたのは、机に伸びてる秀平くんと大樹くん。

多分…いや、絶対1年2人も同じ状況になってると思う。




そして亮也くんからダメ出しされたという練習メニューを作り直すハルちゃん。

ノートを破られ「もっと頭使え、これじゃ意味がない」ってめちゃくちゃ怒鳴られたらしい。




何も手伝えないのがもどかしい…。

昨日の練習が始まる前、私は亮也くんから「お前は俺が言った仕事以外何もするな。あいつらが成長しない」と言われた。






そんなこんなで亮也くん指導の練習が続いた数日目。



練習の途中で滝くんが部活を辞めると言い出し、部室に戻って帰り支度を始めたのだ。


事の発端は亮也くんに原田くんと一緒にビート板でバタ足の練習をしろと言われたことからだった。





秀平) 「裕太!」


滝) 「絶対僕らをいびって楽しんでるんすよっ!
泳ぐだけならスイミングスクールもありますし、あんな人の下でやってらんないっす」


晴美) 「…秀ちゃん…もう決断の時よ」


秀平) 「…俺は…強くなる方を選びたい。みんなだって川崎さんといれば強くなれるって、ほんとは思ってるんじゃない?」




そんな会話を聞いて私はみんなに1枚ずつある物を渡した。


さっき部室に戻る滝くんを追いかけようとした時、亮也くんからみんなに配るよう言われたものだ。




滝) 「これっ…」


A) 「亮也くんが考えてくれた明日からの練習メニュー」


秀平) 「個別に全員分?」


大樹) 「しかもめちゃくちゃ細かい」


A) 「初日の練習後、亮也くんにみんなの今の能力細かく聞かれたの。多分それのため」


晴美) 「この量を1人で…」


A) 「…あのね、亮也くんが水泳辞めたのって肩の故障が原因なの」


秀平) 「故障…」


A) 「それでも選手を続ける道はあったらしいけど、何よりインターハイで優勝して好調でようやくこれからって時だったから余計に辛かったんだと思う」




私はその悩んでいた時期の亮也くんを知っている。
同じスイミングスクール通ってたし、それに従兄弟だし…。

何より私も直々に亮也くんの指導を受けていた。





A) 「あんな一方的な指導だけど、水泳に関しては嘘のない人だから。今またこの場所に立ってる亮也くんは真摯なはずだから…だから、あの…」


秀平) 「…A、ありがとう」





ぶつかり合ったら亮也くんはその分返してくれるはずだから。


どうかもう少し…もう少しだけ…。

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作者名:HINANO | 作成日時:2020年7月11日 17時

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