swim８ ページ8
龍峰と遭遇した次の日、同じクラスである私たちは揃って部室へ向かった。
晴美) ｢にしても龍峰の部長が元彼だなんて｣
A) ｢えっ？笑｣
晴美) ｢だってAちゃんモテるのになんで彼氏いないのかなって思ってたけど、ちょっと納得よね〜｣
A) ｢秀平くんと大樹くんが藤川くんの幼なじみってのもびっくりだけど、お互い龍峰に色々ありすぎw｣
秀平) ｢ほんとだよね。まさかあんな形で会うとも思ってなかったし(笑)｣
大樹) ｢もう観客席からじゃなくても良さそうだな｣
A) ｢なんで？｣
大樹) ｢うちの隣が龍峰だからプールサイドで応援しないんだろ？昨日バレたんだから良くね？｣
A) ｢…｣
晴美) ｢…さっ、この話は終了！今日もビシバシ行くわよー！｣
ハルちゃんが話を終わらせた時には部室の前だった。
秀平くんを先頭に部室へ入って行った私たち。
いつもと変わらない部室の風景…ではなかった。
そこには1人の先客がいた。
知っている。私たち4人全員がこの人のことを…。
立ちすくむ私たちの後ろにやって来た1年生組。
部室にいる男性を見て滝くんは私たちと同じように固まった。
原田) ｢誰っすかあいつ｣
晴美) ｢ちょっ！ばかばかばかっ！！！｣
滝) ｢嘘でしょ！お前知らないのかよ！｣
A) ｢川崎亮也。龍峰のOBで去年のインターハイ背泳ぎ優勝者、つまり全国の頂点に立った凄い人｣
大樹) ｢でもなんで川崎先輩がここに｣
亮也) ｢お前らの顧問に呼ばれた｣
こんな少人数でも部活ではあるため顧問もちゃんといる。
ただ普段はめったに顔を出さない緩い先生。
そんな先生と昔からの知り合いらしくて、うちのコーチを頼まれたんだとか…。
A) ｢…っていうか、それなら事前に連絡くださいw｣
亮也) ｢言っちまったらつまんねぇだろ｣
秀平) ｢え”ぇ！？Aって川崎さんと知り合いなの？｣
A) ｢知り合いっていうか、従兄弟のお兄ちゃん。
あと私が水泳始めたきっかけの人(笑)｣
亮也) ｢…とにかく、今日からお前らの専属コーチだ｣
秀平) ｢川崎さんが…専属コーチ…？｣
晴美) ｢夢みたい…うちのコーチに川崎さんみたいな選手がっ！｣
亮也) ｢もう選手じゃねぇよ！｣
秀平) ｢…えっ？｣
A) ｢亮也くん、引退して大学じゃ水泳やってないの｣
亮也｢練習！…初めっぞ｣
これが、東ヶ丘高校水泳部の始まりだったのかもしれない。
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作者名：HINANO | 作成日時：2020年7月11日 17時
