swim５ ページ5
もんじゃ屋さんへの道中、隣を歩く滝くんにふと質問してみた。
A) ｢滝くんはどうしてうちの高校に？｣
滝) ｢家が近いので。通学時間が短ければその分練習も出来ますし｣
A) ｢なるほど(笑)｣
滝) ｢こんな理由で、引かないんですか｣
A) ｢なんで？ちょっとでも練習したいっていい事だし…私なんて龍峰から近い学校っていうくだらない理由だよ？笑｣
滝) ｢…あの、ずっと気になってたんですけど…｣
A) ｢ん〜？何を？｣
滝) ｢A先輩が龍峰水泳部のこと詳しいのってマネだからとかじゃなくて、ほんとは向こうに知り合いがいたりするからですか？…例えば、彼氏…とか？｣
A) ｢…別に、いないよ。ただ私が一方的なだけ…｣
あぁ…もし水泳続けられてたらちょっとは違ったのかな。
今となってはもう分からないけど…。
向こうは高校生活最後の水泳、つまり今年はインターハイに行ける最後の大切な時期か。
原田) ｢先輩〜もんじゃ焼きっ！…って！…うわわっ！｣
大樹) ｢え"っ！おいっ！｣
後ろを向いて歩いていたからか、ガードレールに気づかずそのままぶつかりドラマのように土手下に綺麗に転がり落ちていく原田くん。
落ちていく方向にはランニングコースがあり、まさにその通りには他校生が集団で走る姿があった。
A) ｢待って！あれ絶対ぶつかるパターン！！！｣
大樹) ｢いや…そう言ってる間にもう被害になってんぞ｣
晴美) ｢んっもう！何してんのよぉ！！！｣
原田くんが転がり落ちた土手を降りて行くうちの部員たち。
みんなに遅れまいと、なんとか私も土手を降りれた。
原田くんが転がって行った先で走っていた他校生の数人が、ぶつかった衝動で軽くドミノ倒しのようになっていた。
その横では騒動の張本人も一緒に倒れている。
A) ｢原田くん大丈夫！？｣
秀平) ｢すいません！うちの…っ…｣
A) ｢？…秀平くん？｣
なぜか言葉を詰まらせる秀平くんを不思議に思い向くと、どこか一点を見つめる秀平くん。
その視線の先を辿ると“藤川”と書かれた他校生。
そしてその人の横から視線を感じそっちに目線を変えるとそこには目を見開いて驚きを隠せない表情で私を見てくる人物…。
他校生のジャージに書かれてる学校名にみんな気づいた。
秀平) ｢…礼央…｣
A) ｢ほ…まれ、くん…｣
“ 桜下大学付属 龍峰 ”
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作者名：HINANO | 作成日時：2020年7月11日 17時
