11回目の好き ページ12
まさか甲斐先輩からそんな言葉が出てくるとは思わなくて吃驚してしまったけど
「好きです」
さっき先輩の前では言えなかった言葉がすんなり出てきた
この時もふーんとだけで沈黙が続く
なんか気まずい沈黙
耐えきれなくなって静寂を遮るように声をかける
「そういえば！私、甲斐先輩にこれを返しに来たんです
傘とジャケットありがとうございました」
机の上から紙袋を取って渡しに行く為に近寄ると
何を思ったのか抱きしめられた
「え、？ちょ、」
戸惑っているとすぐに離されて開放される
何が何なのかよく分からぬまま
「…頑張れよ」
と言われたけど何のことだろうも検討がつかない
きっとあほ面してたんだろうね。
甲斐先輩に笑われた
あ。可愛い笑顔
「クリーニング、さんきゅ。」
そう言って廊下に出て歩いていってしまった
え？今の何？どういうこと？
ん？ん？
こんな数分間に二人の先輩から抱きしめられるとは
私の身に一体なにがあった！
先輩のやつは理由があってだけど
甲斐先輩のやつはどういうこと？
頑張れって…なにを、？
皆目見当もつかない
誰か教えて〜〜
「それってさ、甲斐先輩とやら
Aの事好きだったってことじゃないの？
だけどあんたが里見先輩が好きだというから諦めて頑張れってさ」
おしえて由奈ちゃん
教室に戻てきた時に言ってもいいのか迷ったけど1人で考えても拉致があかなさそうなので相談するとこにした。
けどさ…
甲斐先輩が？
「それはない！
だってまだ会って話したの数日しか経ってない」
「わかんないじゃん。先輩一目惚れしたのかもよ」
由奈が何言ってんのかちんぷんかんぷん何だけど
頭になかなか入ってこないし、理解ができてない
「ま、でも先輩それを言うと困らせるって分かってるから言わずに応援するって言ってんだから解決じゃん？」
い、、いいのかな。
そんな簡単に解決で
もし、甲斐先輩が本当の本当の本当にほんの一部でも私の事好きだと思ってもらってあの行動なら
私だったら納得出来ないけど。
「もー変な顔してる
言われて困るのはあんただよ。
あんたの為に言わずにいてくれてるんだからそのままにしとけばいーの！
気付かなかった時のままでいればいいのよ
分かった？」
はい。としか言わせないよね
でも、正直由奈の言う通りすぎて
甲斐先輩には申し訳ないけど(本当に本当に私の事好きなら)ここは素直にその気持ちに甘えよう
今は先輩の事だけを考えよう
次はちゃんと言えるように
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作者名：百舌 | 作成日時：2019年3月26日 1時
