【ユーリ!!! ｏｎＩｃｅ】 That`s my Way!!!《２》【男主】 (ページ7)

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２０．A　Little　Happeninｇ!!!　Part２ページ7

大きなホール状の施設の玄関。

手前から、突然のことに驚きと憤りでわなわなと震える勝生コーチ、呆気に取られて立ち尽くす俺、にこにこと笑顔で構えるイヴァン、「はぁ…」とこめかみを押さえるヴィクトルコーチ。

じょ、状況が全く呑み込めない……！！

どうしてイヴァンがここにいるのかも、ヴィクトルコーチと一緒にいるのかも分からない…！

「…とりあえず、座って話そう。時間ないし、手っ取り早く話すよ」

そんな流れになって、丸いテーブルに四人で向かい合って座るカタチになった。気まずいことこのうえない。

「…えーと、改めまして、イタリアから来ました、イヴァン・バジーレです！ヴィクトルさんがこちらに滞在すると聞いて、僕もこっちで調整しようと思って来ました！」

そう快活に言われるも、情報が足りないので何とも返せない。

すると溜息を吐きながらヴィクトルコーチが補足した。

「…去年、シーズンが終わった直後に振り付けの依頼をされたんだよ。ちょうど他の仕事も落ち着いてたし、まあ、その、ギャラも良かったから……。

まだミナセのサブコーチになる前だったし、他の振り付け師にもよくあることだろ？

正直、イヴァンがここまで成長すると思ってなかったし、支障ないかなと思って黙ってたんだけど…。

この通りＧＰＦ進出まで決めて最終調整頼まれちゃったもんだから、プロとして断れないだろ？

…というわけで、彼も今日からこのリンクにお世話になる」

「わー、そーなんだー！…で済ませられるわけないでしょ！？

ＧＰＦ直前に冗談じゃないよ！お互い気まずいし、練習内容だって当日の構成に関わってくるんだよ！？」

切れ気味に怒る勝生コーチ(怒り方がなんだか可愛いのでそこまで怖くはない)。

俺にとってイヴァンはライバルで、できればお互いに精神的な干渉は受けたくないはず。

それなのに、どうしてわざわざココまで足を運んだんだ？

笑顔を絶やさない姿からも、何か企んでいるんじゃないかと勘繰ってしまう。

そんな彼が、言葉を発した。

「あの、迷惑だっていうのは分かってるんですけど…どうしても間近でAさんを見てみたくてっ…！どうか少しの間だけ置いて貰えないでしょうか…？」

人間というのは、実にちょろい生き物だ。

名前を出された俺は「んっふぅ」と変な声を出してしまった。

それがYESだと皆は受け取ったらしく、めでたくイヴァンと数日間だけのリンクメートになってしまったのだった。