【ユーリ!!! ｏｎＩｃｅ】 That`s my Way!!!《２》【男主】 (ページ11)

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２２．Fighters　And　Visiterｓ!!!　Part２ページ11

「南健次郎っ、遅れながら到着ばいっ!!」

…と元気よく南くんが皆の前に姿を見せたのは、翌日の練習。

前日の夜練習などには出ず体調管理に徹する選手も多いので、実質今日が全員が揃うであろう練習だである。

今日の練習はメディアの入場も認められていて、たくさんのカメラに囲まれているのがむずがゆかった。

送れていた南くんに加え、昨日姿を見せなかったイヴァンも参加していた。

相変わらずのニコニコ顔で、他の選手や報道陣にも笑顔で対応している。

「…数日前の出来事が嘘みたいですね」

勝生コーチに言うと、「僕はあれが本人だったのか疑うところまできたよ」と乾いた笑い声を発した。俺も枯れた声で返事した。

ジャンプ練習に戻ると、ちょうどＪＪさんの曲かけの順番が来たので、邪魔にならないようにペースを落とした。

練習といってもしっかり小休憩を挟みながら、あくまで本番前の調整として行う。

すると同じように端っこに寄ってきたユーリくんと目が合った。

ユーリくんは近くに寄ってきて、コソコソと耳元で話し始める。

「なあ、あいつ、あのイタリアのバジーレ？だっけ。あいつ何だ？なんかすげえ、見たことある滑り方でモヤモヤすんだけど…」

ユーリくんも俺たち同様イヴァンの滑りの違和感に気付いたらしい。

金髪をわしゃわしゃかきあげながら悶々としている。

「俺もよく分かんないけど…。ただ、イヴァンの滑りは他の選手の模倣だってことは感じてる。ヴィクトルコーチともそう話したし」

「そうか…きっとムシャクシャすんのはそのせいだ。なんかあいつ見てると昔の悪い癖思い出すんだよな。ジャンプで手あげようとするときに、軸傾くヤツ」

ユーリくんが言うのを聞いてはっとした。
ジャンプの空中姿勢はＪＪさんだけど、入りと着氷後の流れの感じは違ったから、違和感があった。

それがユーリくんのコピーだという可能性が高い。

もし他の選手がユーリくんのように気づき始めたら、明日のショートは見えないところで荒れるかもしれない。

「本番前に変なこと言って悪かったな。…お前も充分気をつけとけよ」

「分かってる」

そう言い残してユーリくんは自分の曲かけ練習へと向かっていった。

俺の頭の中では、イヴァンの声とユーリくんの声が何度もリフレインされていた。

勝生コーチがそんな俺を心配そうに見つめていた。