【ユーリ!!! ｏｎＩｃｅ】 That`s my Way!!!《２》【男主】 (ページ2)

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１８．Battle　In 　France!!!　Part６ページ2

微かな旋律の流れが聴こえる。

俺は、一つ一つの音を離して逃がさないように、氷を駆ける。

体力の配分も考えながら、ターンの時にできる限りエッジを倒し滑りにも表情をつける。

『メークをした状態で登場した水瀬選手ですが…そのおかげか、いつもよりも表情豊かに見えます』

ここから前半は４Ｔ、３Ａと得意なジャンプが続いた。
もうこの二種類のジャンプでミスすることはほとんどなくなっていた。

『ここでシットスピン。安定してレベル４がとれていますね』

次は３Ｌｚ＋３Ｔ、重要な得点源となるコンビネーションだ。

ジャンプの直前、エッジを正確に外側に倒してからの踏切。
ジュニア時代よくエラーを出されて中々改善できなかったものだ。

でも今は、かつて鈴木先生と行った練習が効いている。

三回転は加点がつけば、四回転に匹敵する武器にだってなる。

『助走をつけてフライングキャメルスピン。美しいです』

続けて４Ｔ＋２Ｔ。
少しセカンドジャンプを跳ぶ前に詰まった。それでも、朝の公式練習ではコケていたので、状態が良くなった。

『さあ、曲も有名なテーマに差し掛かり盛り上がってきました！ここから後半、ジャンプの基礎点１．１倍です』

もう守りに入る気は一切なかった。

あくまで、自分が最高だと思える滑りをするだけ。

中国大会では転倒してしまった３Ｌｏ、決められるか…！？

『あーっ！…と、回転が抜けて一回転になってしまいました！』

しまった…！と思ったのもつかの間、すぐにコンビネーションがやってくる。
その前に気持ちを立て直す！

こういう時のための安全策、と今朝から勝生コーチが譲らなかった、難易度を落としたコンビネーション。

ぐっと軸を引き締めるのを意識して３Ｓ＋３Ｌｏ。
さっきミスした３Ｌｏは何とか堪え着氷。

もし予定通り４Ｓにしていたら最悪転倒まで崩れていたと思う。

もしかしたら回転不足をとられるかも…とヒヤヒヤしたが、「だから言ったでしょ」と勝生コーチがほくそえんでいるような光景が目に浮かぶようで、ちょっとリラックスできた。

ここからは、確実に持ち直す。

実は、ヴィクトルコーチの魔法はまだ残っている。

『…！？コレオシークエンス、予定のイーグルとは違い…

まるで女子選手のように、蝶のようにしなやかなスパイラルです！』

＿＿＿＿『ミナセは、まだまだ自分の特性を活かしきれてないよ』

その言葉の意味が分かった。