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(※佐久間side)
(※宮田さん出演有)
「佐久間飲みに行かない?」
珍しく宮田くんから飲みのお誘いが来た。
月25日以上宮田くんと2人でご飯に行っていた時期をふと思い出して途端に懐かしくなる。
今はお互い忙しくて宮田会みたいな大人数で会う事が多くなり2人で飲むのは少なくなった。
本当に忙しくて、が理由なのはさておき。
思い出すのはあの東京から離れた真夏で観客席にいた自分に向けられた、凍てつくような怒りを凝縮したかのような睨みと相手の頭をつんざくかのようなもはや祈りにも似た叫び。
まさかあの時ぶつけられた同じような感情を数年後(対象とする人は違うとはいえ)抱えることになるなんて、とため息をつく。
話の流れから2人で飲む雰囲気だったが念のため「宮田会だったらまた開きましょうか?」とLINEをしたら「久しぶりに佐久間と2人で飲みたいから宮田会には声掛けなくていいよ」とすぐに返事が来た。
宮田くんからこんな早くにレスポンスがあるなんて珍しい。
宮田くんはどれだけこっちからサシ飲みやサシ旅行を誘っても「絶対無理!!!!」って強く断られる時期があるけれど、どれだけ強く断られても宮田くんはその圧倒的な人の良さで「今仕事が忙しいんだろな」とすんなり思える。
その割に宮田会には忙しい中でも意外とあっさり参加してくれるし、なんか嫌われるような事したかな?とか嫌われちゃったのかな?と思う事はあんまりない。
そういえば1年前の今頃も(あの頃も夏だった)どれだけサシ飲みを誘っても忙しいから今度ね、と断られた時期があった。
「んじゃまた誘います♪」と自分で言うのもなんだけど健気だよなぁと思いながらLINEを打ってたっけ?
そして数ヶ月後その時期に撮影されたとされる作品が公開された時に、こりゃサシ飲みは断られるだろうなと察した。
青い海、聳え立つ白い洋館。2人だけの世界と言わんばかりの映像。
あんな作品の撮影の最中で、あの遠い夏の日に東京ではない別の土地で宮田くんとの仲の良さにブチギレられた自分との誘いを宮田くんが乗るわけないよなぁと改めて宮田くんの人の良さに感服した。
一方であれだけ平等に人に優しく接する宮田くんがあんなにも1人に対して大事にするのはあの人が相手だからか?と思うとジリッと心が軽く灼きついた感覚がしたのを思い出した。
−−−−-ジリッと心が灼きつく感覚。
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作者名:楓 | 作成日時:2021年6月12日 23時