4-4 ページ36
「...玉、ありがとう!!」
そう言うと玉はまたひらひらと手を振って返してきた。
「なんでみやがありがとうって言うんだよ」
ニカがボソッとそうボヤくと千ちゃんが
「ほんと!ニカ!うるさいっ」
と再び千ちゃんがニカの口を止めようとするとニカがなんだよ〜って嬉しそうに笑いながら逃げてニカ千のわちゃわちゃが始まった。
こっちは玉がいなくなっちゃったんだけどなーと自業自得なのにぼんやりと2人を眺める。
そういえば玉、深澤とは会ったりする仲だったっけ?と思い浮かぶ。
それでいつかわかるといいんだけど。
なーんて、玉は興味なさそうとポリポリと頭を掻きながら自粛期間中宮田会にノリで誘っても丁重にお断りしてきた玉を思い出す。
キッパリと断った玉に、誘った身にも関わらずどこか安心したような自分がいて相変わらず自分と2人っきりの空間を好む玉がいじらしく可愛らしく愛らしい。
こんな邪な感情でいいのか?と今まで何度も思い巡らした感情をまた抱いてしまう。
そんな苦い思いを振り切りながらせっかく玉が嫌々ながら(?)許してくれたんだからお店探さないと、と美少女ゲームの画面を一回落としてお店を予約する。
「昇」とぬっと聳え立つ看板と黒い魚の写真。
ここが良さそう!とお気に入りマークをタップした後遠ざかる玉の背中が予約したお店の外観の写真と重なった。
追いかけても追いかけても届かないと思い込んでいた瞬間も確かにあった。
でもそれは幻想だった。真夏の蒸し暑い日の夜によく見る悪い夢のようなものだった。
今なら、いやいつだって駆け出して手を伸ばせば玉はその手を握り返してくれた。
行かなくちゃ、見送るんじゃなくて追いかけて呼び続けるんだ。
「ちょっとたま〜〜待ってよおおぉ」
一緒に振付の練習しよっ♡と追いつきニコッと笑いかけたら感情を失くしていた玉がこちらをみて少しためらいつつ
「絶対一生一緒に踊ってやんない!!」
といつもの強めな口調と、余りにもアンバランスな嬉しさと幸せを隠しきれてない声色でぷいっと顔を背けて口元を緩ませた。
-----
深澤さんも再び出現させ玉ちゃんsideも匂わせましたが玉sideは断じてない!です(フリじゃないよ←)
この件に関しては玉ちゃんは作者は何を考えてるかわかりません(
最近読んだ小説で好きの至上が「相手のことがわからない」と書いてありました
相手の事が分かりたいと思うからこそわからない。
深いですね(?)
次はあべさく描写有予定です←
207人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楓 | 作成日時:2021年6月12日 23時