3-10 ページ30
「佐久間!!!!!!!!!」
と佐久間を呼びかけた自分がいた。
思ったよりも大きな声が出てしまったらしい。
佐久間より先に目についたのは佐久間の後ろにいるふっかが驚いた顔でこちらを見ていた事だった。
その次に目についたのはふっかの隣にいた自分の心を射抜くかのようにこちらを見ていた目黒。
「…なんだかあべさくってどっちか元気だとどっちかも元気で、どっちかが元気ないとどっちかも元気ないッスよね」
「どっかのシンメじゃねーんだからそんなことねーだろ。…んー、でもやっぱシンメだから似るというかシンクロするところもあるのかねぇ…」
と目黒とふっかの声をひそめた話が聞こえたような気がした。
そんな彼等の言葉を遮るように
「...さっきのダンスすごくよかったよ」
すごくかっこよかったよ、って言えなかったのは照れ以上でも照れ以下でもない。
何十回何百回何千回も見ている彼のダンスに、また救われたなんて悟られないように祈りながら親指を立ててグーサインで語りかける。
佐久間はただでさえ大きい瞳をより大きくさせてちょっとびっくりしたような表情をした。
そして照ではなくこちらを−−−俺の方を向いてすぐにいつものあのとびっきりの笑顔で、そして俺と真似っこして親指を立ててグーサインで返した。
207人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楓 | 作成日時:2021年6月12日 23時