昇る魚 (ページ15)

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－－－－－－宮田くんは今までずっと隣にいた人が遠くへ行っちゃったような気がした事ある？？？

「なぁーーーに、それ？？？？」

さっきまであんなに穏やかで人を安心させる素敵な王子様スマイルを浮かべてた宮田くんは今、「適正で的確でこの場にふさわしい笑顔です」と言わんばかりの張り付いた笑顔を浮かべていてゲームのラスボス感を想起させる。

千賀君が言ってた宮田くんの「扉」はこれか？と感じた。

「宮田の心には開かずの扉がある。時々扉の前に鍵が落ちている時もある。アニメの話題がある佐久間は開きやすいのかな」

千賀君が以前話していた事を思い出す。

千賀君も認めてくれたアニメという武器で宮田くんの開かずの扉を開いて見せる！！！とお酒の勢いで強気に攻めてみる。

…と勢いよく尋ねて見たものの、宮田くんのその返事は冷たい響きがあった一方その割にはそんなに嫌がってなさそうな相反した響きがあって困惑する。

珍しく宮田くんがなにを考えてるのかよく分からない。

表情豊かでくるくると感情が顔に出やすい宮田くんだ
けど、常に一定に笑顔を絶やさずキープしてるが故に本当の感情が見えにくいんだと気づく。

うーん、そぉねぇ〜〜と宮田くんは目と口元は笑顔を固定しながら箸でえぐった魚の身を食べた。

宮田くんのずっと隣にいた人、との事。

「…俺達の場合はああいう売られ方されちゃったし、余計にそう思われたりそう言われたりした事もあると思うよ。

どんどん置いてかれるぞ！って面と向かってハッパをかけてくる人もいるし、自分自身焦りもあったと思う。

1番近くで隣にいたメンバーがどんどん売れて、日の目を見られてよかったって嬉しい反面周りの人が言うようにどんどん置いてかれてもう振り向いてもくれないかもと思った時期もあった。

そんな事に対して複雑な気持ちを抱かなかったって言ってしまうには本当のことではないとは思う」

宮田くんはただでさえいつも言葉を意識的に慎重に選んで話しがちなのに、今回は未だかつてないくらい丁寧に言葉を選んで話す。

だけどね、と宮田くんは今までふんわりと笑っていた目から、しっかりとまっすぐ見据えた力強い目で俺に対して話続けた。