35派生の恋 ページ34
「蜜璃ちゃんはいいなぁ」
「えぇ?どうしたの?Aちゃん」
体育座りをして、あからさまに不貞腐れています、と身体で表現するAに、蜜璃はおろおろと眉を下げた。
「恋の呼吸って、炎の呼吸からなんでしょう?
燃えるように熱くて激しくて…。
煉獄さんの様な呼吸なんて、羨ましすぎる!」
蜜璃の心配とは裏腹に、彼女の不満はいつも通り煉獄についてのことで、ホッと息を吐いた。
「Aちゃんの呼吸も良いと思うけどなァ。
静かで優しくて、澄み渡るような呼吸」
「うぅ…。蜜璃ちゃんにそう言ってもらえると私、どう反応して良いか」
熟れたリンゴのように真っ赤になった頬を隠そうと両手で抑える姿に、蜜璃は心を踊らせた。
褒められると直ぐに照れちゃうAちゃんってば可愛い!
ちょうど今の今まで迷っていた様子だったAは、頬から手を離すともうガラッと表情を変えていた。
もともと、秋の天気のようにコロコロと表情の変わるAのことだ。蜜璃もそこまで動揺したりしない。彼女はそういうものだと知っているだけのことだ。
それでも、Aがその真剣な顔のまま、真剣そのものの口調で発した言葉は、彼女の理解を大きく超えていた。
「私も、煉獄さん相手になら恋の呼吸を使えるかもしれない…」
「えっ!?隊士同士の斬り合いはご法度よ!?」
「蜜璃ちゃん!私も出来るかもしれない!
壱の型だけで良いから!ね!?お願い!」
「ちょっと!Aちゃん!?」
「待っててください煉獄さん!」
「ハクション!!!!」
「どうした?ド派手に風邪か?」
「恐らくAが噂でもしてるのだろう!
気にするな、いつものことだ!……ズズッ」
「いつものことなのかよ…」
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作者名:evoli | 作成日時:2020年1月23日 2時