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「え…」
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抱きしめられてると分かったのは、
涼介の震えが振動として伝わってきたから。
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腕の力加減。温もり。感触。匂い。
どれも久しぶりで懐かしかった。
私は涼介を抱きしめることも、拒むことも出来ず、
手が宙ぶらりんになって。
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涼介「A…」
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昔から涼介が怒ったり、少しでも機嫌が悪いだけで
私は簡単に折れていた。
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だから、悲しいのか、怖いのか、何も分からないのに
瞼の奥が熱くなって、泣きそうになって。
それを察した涼介は、すぐに焦った顔になって、
私を泣かせないために、あれこれ言いながら慰めていた。
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涼介「よく聞いて。」
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だけど、今回は違っていた。
涼介の身体がゆっくり離れて、ジッと私を見据えている。
そして、涼介がポケットから何かを取り出て
私の前に差し出す。
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「キャンディ…?」
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取り出したのは、ぐしゃぐしゃになった
林檎味のキャンディの袋。
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「なにこれ…」
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小さく呟き、涼介の顔を見上げると
微笑んでいた涼介の顔が崩れていた。
よく見れば、涼介の目は赤かった。
その頬には、乾いた涙の跡があった。
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涼介の唇は震えていて、
落ち着こうとゆっくり息を吸う。
だけど、耐えられなくなり、
涼介は涙を零した…
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涼介「大ちゃんが、死んだ。」
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愛(プロフ) - おはようございます♪何回見ても泣けるお話です(泣)続編見たいです★楽しみにしてます(•‿•) (6月17日 7時) (レス) @page49 id: 170da3309e (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ぱんださん» お返事遅くなりすぎて申し訳ございません…!何度も読み返してくださりありがとうございます。作った者としてこれ以上無い褒め言葉です。マイペース更新になりますがよろしくお願いいたします。 (5月27日 22時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - 私はこの作品のファンとして毎度更新を楽しみにしていました。終盤は涙が止まらなくなることも多く、気づけばこの作品にのめり込み、何度も読み返しています。そして何度読んでも毎度号泣しています。今作も楽しく拝読しています。これからも陰ながら応援しています。 (2023年2月5日 7時) (レス) id: 399b55da19 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - るん。さん» 嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです。ちょうど今新作公開したので、お時間あればお越しください。 (2022年12月31日 18時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
るん。 - 本当に本当に本当にお疲れ様でした。最初から最後までとても楽しく読ませて頂きました。小説の本を読んでるかのように読みやすく感情移入しやすかったです。1番好きな小説です!また新作できた際には拝見させていただきます! (2022年12月18日 11時) (レス) @page49 id: fde368863d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2022年10月8日 0時