検索窓
今日:25 hit、昨日:2 hit、合計:40,565 hit

■349 ページ49

***







「りょう、すけ…」








.








やっと掴んだ細い手首。

驚いて身を竦めたAは震えていた。







.









久しぶりに見たその姿に、久しぶりに聞いたその声に

何も言えず、ただ固まってしまう。









.









ずっと探していたAが、確かにここにいる。

今すぐにでも抱きしめたかった。








話したいこと、聞きたいことは山ほどあるのに、

何から言えばいいか分からない。










.









涼介「A…」







.







Aは力が抜けたようにヘタリとしゃがみ込み、

身体を隠して、顔を上げる。









衰弱し切った目が俺を捕らえて。

柔弱な力で…俺の手は振り払われた。








.








「…どうして来たの。」








.







あまりにも低い声に、ひゅっと喉が変な音を立てた。









聞き間違いだろうと、もう一度Aに触れようとすると

今度は、はっきりと手を振り払われる。








.








「触らないで…」








.








ひどく険しい表情で見つめられ、息がつまる。

だけどその目は、今にも泣き出しそうで恐怖に満ちている。







.








Aのことなら何でも知ってたはずなのに

今は何を考えているのか全く分からない。








一人怯えて、”何か”を隠そうとしてる。









.









涼介「…っ。」








.







もどかしかった。










寄り添いたいのに拒絶されて、

抱きしめたいのに許してもらえない。







.








最後に会ったときのAと、目の前にいるA。

この半年で、本当に変わり果てている。










だけど…








.







涼介「…ごめん。」

「……」








涼介「無事で、よかった…」







***

■350→←■348



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1348人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まりも | 作成日時:2022年5月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。