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***
「りょう、すけ…」
.
やっと掴んだ細い手首。
驚いて身を竦めたAは震えていた。
.
久しぶりに見たその姿に、久しぶりに聞いたその声に
何も言えず、ただ固まってしまう。
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ずっと探していたAが、確かにここにいる。
今すぐにでも抱きしめたかった。
話したいこと、聞きたいことは山ほどあるのに、
何から言えばいいか分からない。
.
涼介「A…」
.
Aは力が抜けたようにヘタリとしゃがみ込み、
身体を隠して、顔を上げる。
衰弱し切った目が俺を捕らえて。
柔弱な力で…俺の手は振り払われた。
.
「…どうして来たの。」
.
あまりにも低い声に、ひゅっと喉が変な音を立てた。
聞き間違いだろうと、もう一度Aに触れようとすると
今度は、はっきりと手を振り払われる。
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「触らないで…」
.
ひどく険しい表情で見つめられ、息がつまる。
だけどその目は、今にも泣き出しそうで恐怖に満ちている。
.
Aのことなら何でも知ってたはずなのに
今は何を考えているのか全く分からない。
一人怯えて、”何か”を隠そうとしてる。
.
涼介「…っ。」
.
もどかしかった。
寄り添いたいのに拒絶されて、
抱きしめたいのに許してもらえない。
.
最後に会ったときのAと、目の前にいるA。
この半年で、本当に変わり果てている。
だけど…
.
涼介「…ごめん。」
「……」
涼介「無事で、よかった…」
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作者名:まりも | 作成日時:2022年5月15日 21時