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***







優雪「…っ!」

大貴「え、ゆき!?」








.









今度こそ席から立ち上がり、私は逃げた。

後ろから大貴の声が聞こえるけど、知らない。








.









何も聞こえない。聞きたくない。

耳を塞いでしまいたい。









せっかく堪えてたのに、溢れ出そうで怖い…









.








大貴「ゆき!待ってって!」

優雪「…っ、っ!」








大貴「…っ、”ゆきちゃん”!」








.










心臓を鷲掴みにされたみたいに、一瞬息ができなくなって

脚がもたついてしまう。









後ろから追いかけてきた大貴に捕まったのは

路地裏の奥まった場所だった。










.










大貴「はぁ…っ、嫌なこと思い出させてごめん…っ。

Aのこと、言いたくなかったらもう言わなくていい…っ。」








優雪「…っ。」








大貴「…っ、ほんとにごめん…っ。

もう何も聞かないから…っ。」










.








息が上がっているのか、途切れ途切れで大貴は言ってくる。

掴まれていた手も離されて、右手が宙ぶらりんになる。









.








大貴が分からない。

どうしてそんなことばかり言うの?









.









私のこと、嫌ってるくせに。

どうでもいいと思ってるくせに。









憎んでるくせに。

私がいなくなればいいと思ってるくせに。









なのに、何で?

なんで…








.









優雪「…っ、なんで今さら優しくしてくるの…っ。」









***

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作者名:まりも | 作成日時:2022年5月15日 21時

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