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大貴「一昨年の…冬ぐらい?」
涼介「え、一昨年って19のとき?」
大貴「そ。」
涼介「うわ、未成年じゃん。」
大貴「ははっ、だな…」
.
中身のない、こんな穏やかな会話をするのは、
いつぶりだろうか。
.
涼介「大ちゃんってさ、意外とヤンチャだよね。」
大貴「そういう山田は意外と真面目だよな。」
涼介「意外とは余計だっての。てか煙たい。」
大貴「あ、わり。あっち向くわ。」
.
敵意も悪意もない、ふつうの会話をするのは
いつぶりだろうか。
.
涼介「一日何本吸うのよ。」
大貴「日によるけど、一箱ぐらい?」
涼介「え、一箱って何本?」
大貴「10本。」
涼介「うぇ、マジのヘビースモーカーじゃん。」
.
気軽に悪態を付き、大ちゃんがうっせって眉を顰めるのは…
いつぶりだろうか。
けどさ…
.
涼介「てか何で吸うようになったの?」
大貴「ふふ、口寂しくなって。」
涼介「へぇ…」
.
けどさ、もうお互い気づいてるんだ。
これは探り合い。
.
こんな内容のない会話なんてどうでもいい。
俺らが話したいのは、もっと別のこと。
.
涼介「何で口寂しくなったのよ。」
大貴「んー色々あって。」
涼介「いろいろ、か。」
大貴「うん。」
.
大ちゃんが19歳のときの冬。
寂しくなった理由。
それは、俺…いや、“俺ら”が17の冬。
俺らが、高校二年生のときの冬。
.
涼介「彼女とか、今まで何人いたの?」
大貴「…ヒミツ。」
涼介「はぁ?教えろし。」
大貴「じゃあ、山田が先に教えてよ。」
.
涼介「俺は…一人。」
大貴「山田ってさ、ほんと素直よな。」
涼介「うっせ。」
.
あの日の冬。
…何があった何かなんて、明白だった。
.
涼介「ちょっと聞きたいんだけどさ。」
大貴「今日はやたらと聞いてくるな。」
涼介「まぁいいから。」
.
大ちゃんが、何だよって小首を傾げ、
重い前髪が大ちゃんの目元を覆う。
.
そういうとこがさ、世の中の女の子を魅了してるって
気づかないのかね。
Aもまんまと引っかかって…
.
涼介「去年のクリスマスの前、Aに会った?」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2022年5月15日 21時
