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***
「何か飲みますか?」
.
棚から高級ブランドのマグカップを取り出し、
私をチラチラ見てるゆきちゃんのお父さん。
ゆきちゃんは、私と向かい合わせでソファに座り
怯えた様子でジッと私を睨んでいる。
私が何か変なことを言い出さないかと
ソワソワしてるのは一目瞭然だった。
.
「いえ、お構いなく。」
.
白井邸は本当に大きかった。
馬鹿みたいに。
この区画にあるのはこの豪邸と
お情け程度の小さな家が二軒ほど。
.
あまり裕福とはいえなかった我が家とは
天と地ほどの差。
.
そんな豪邸の一室…
一階のリビングで、
私はゆきちゃんのお父さんに微笑んだ。
.
「以前、私の母と古い知り合いだと言ってましたけど、
いつから知り合いだったんですか?」
「学生時代でしたかな。たまたま同じ学校で
同じ講義で知り合いましてね。」
「…っ、そう…だったんですか。」
.
胃から這い上がってくる妙な圧迫感に胸を押さえる。
初めは当たり障りもない会話から。
向かいに座るゆきちゃんは相変わらず肩を縮こまらせて
冷や汗をかいてるのが分かる。
私は…真っ青なゆきちゃんに微笑んだ。
.
…大丈夫だよゆきちゃん。
早く終わらせてあげるから。
回りくどいことはしない。
私は、おじさんの目をじっと見つめた。
.
「その学生時代に、
私の母と付き合っていたんですよね?
……お父さん。」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2022年5月15日 21時
