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***
お父さんがいると知ったとき、
本当は、嬉しかった。
私には、お母さん以外にまだ血の繋がりがあったんだと、
嬉しさで胸が苦しかった。
.
母がいなくなって、もう誰もいないと思っていたのに
本当はちゃんといて。
しかも、想像していた人物像とは違う、優しい人だった。
ちゃんと母のことを愛してくれていた。
.
遺品を整理したときに見つけた写真は
どれも楽しげな二人がいた。
本当に仲が良かったんだと分かった。
それに、優雪ちゃんが見つけた日記からも、
おじさんは、母の妊娠を喜んでいたと言っていた。
.
でも、私はその人に最低なことを口にした。
あまり上手とは言えない嘘と
下手くそな演技で、二人を欺いた…
.
「…っ、がんばったよね…?」
.
“嫌われてもいいから、大切な人を守りたい”
“何も知らない方が幸せなこともある”
今なら、あのときの大貴の気持ちが分かる気がする…
.
ヒリヒリと、胸が痛くなっていく。
口先が震えて、ぎゅっと唇を噛む。
出そうになる涙を堪えて、必死に歯をくいしばる。
.
でも、それがいけなかったのか。
また目の前の景色が歪んで、
足元がふらついてしまった。
.
「…っ、はぁ…」
.
倒れ込むことはなかったけど、
首に手を当てて、思わずため息が出る。
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この頃熱っぽいし、だるいし、
妙にしんどい。
.
さっきも、体中がだるくて仕方なくて
あの人たちにバレないよう必死に表情をつくっていた。
食欲ないから最近ご飯も食べられてないし、
今日のことについて何度も考えていたからなんだろうけど…
.
「…っ。」
.
ストレスを溜めすぎてしまった。
やば、い…
気持ち悪い…
.
我慢できなくなって、とうとう膝が崩れ落ちた。
出てきそうなものを堪えるために、
タオルを取り出して、口元で押さえて…
.
「大丈夫ですか…?」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2022年5月15日 21時
