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***
だけど…涼介を許したわけではない。
もちろん、黙っていたのは私のためだと
理解している。
本当なら感謝すべきだということも、
充分分かっている。
.
でも、心の整理をするには
まだ時間が必要で。
どんな顔で涼介に会えばいいのかも
分からなくて…
.
「はぁ…」
.
やるべきことが多すぎる。
母の葬儀は終わったら
今度は四十九日の準備。
.
お金は、父が…
ううん。
“ゆきちゃんのお父さん”が出すとは言ったけど
それも断らなくちゃいけない。
それに、私とゆきちゃんが本当に異母姉妹なら
私は学校も辞めるべきで…
それにはまず、ちゃんと
鑑定もしてもらわなくちゃいけないし…
.
「どうしよう、か…」
.
狭い部屋に響く微かな呟き。
.
大貴と涼介…
それに、ゆきちゃん。
彼らが今、どうしているのか
全く分からない。
.
あの日。
大貴にあった日…
大貴はとても驚いていた。
何で知ってんだって顔をして。
どうしてこの部屋に来たんだって顔をして。
.
“…ごめん”
.
大貴が近付いてくる。
そして、私の前に立ち尽くす。
.
ゴツゴツした手は、
ずっとずっと触れたかったもので。
今、その手が私の手を握ろうとして…
私は、その手を振り払った。
.
“それは何のごめんなの?”
“ごめん…”
“部屋、本当に隣だったんだ”
“本当に、ごめん”
.
何を言っても、何を聞いても
大貴はごめんとしか言わなかった。
私は…そんな言葉が聞きたかったんじゃない。
いや、本当は何も聞きたくなかった。
.
ただ、怒りとか苦しみとか。
ぐちゃぐちゃになった感情を
大貴にぶつけたくて。
だけど、結局大貴になんて言ってほしいのかも、
自分でも分からなくて…
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
