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***
「…っ。」
.
二年前のクリスマス。
大貴に振られた。
一年前。
大貴を追いかける決心をした。
4月。
大貴と再会して、改めて大貴に振られた…
.
「私も…大貴先輩が好きでした。」
.
初めて会ったのは、16歳のとき。
図書館で本を読んでいた私に、
受験生の先輩が話しかけてきた。
それから、図書館で先輩と会うようになって
先輩のことを意識するようになって…
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「先輩に“A”って呼ばれると嬉しくて
ドキドキしてました。」
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毎日のように先輩がくれた林檎味のキャンディ。
手を繋いだとき、意外と大きな手が大好きだった。
キスは突然で、目を細めて笑う先輩に
私は毎回顔を赤くさせていた。
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「私の初恋は大貴先輩で
大貴先輩と付き合えて、本当に幸せでした。」
大貴「A…」
.
その目がピクリと動く。
瞬きを数回して、ゆっくり息を吐いている。
.
あの頃の私なら、きっと“うん”と頷いていた。
大貴の気持ちが嬉しくて、“ありがとう”と言っていた。
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「でも…」
同時に思い出す。
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振られて、泣いていた私の傍にいてくれた人。
いつまでも落ち込むなと激励をしてくれた人。
私の逃げ場になってくれた、優し過ぎる人…
.
さっきまで部屋一面に並べていた服。
明日会う約束をしている、今の大切な人。
.
「今…私が好きなのは、涼介です。」
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大貴の目が、揺れた。
上手い言葉は見つからないけど
私は迷いを振り切り、飾り気のない言葉を紡ぐ。
.
「だから、先輩が私のために別れてくれたと知っても
先輩の気持ちには応えられません。
…これから先も、ずっと。」
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まだ涼介にすら伝えていない、本当の気持ち。
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大貴への想いを払拭する為に涼介を利用して
都合の良い時だけ涼介に縋っていた。
だから、例えこの想いが涼介に通じなかったとしても、
私が大貴を選ぶ事はもうない。
.
恋はレジの順番待ちじゃないから…
一人が清算終わったからと言って、次とはいかない。
.
「だから…ごめんなさい。」
.
私が好きで、これからも一緒にいたいと思うのは
涼介だけだから…
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
