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こうやって、目の前に“彼”がいて

“彼”と話すのは何度目だろう。











.










「なんで…」

大貴「うん…急にごめん。」










.










目の前の彼は笑っているのに

その声は泣いているように聞こえた。










.










大貴「いま、大丈夫?」

「…っ。」










大貴「少しだけ話、させてほしい。」









.










話をさせて欲しいと言われたものの、

脚が固まって動かない。











.










だって…大貴は最初から全部知っていて

私を守るために別れを告げて…











なのに、私は大貴に酷いことを言ってしまって。










気持ちは固まったものの、まだ大貴と向き合えないし

まだ、大貴に謝れてない…










.










なんで出てしまったんだろう、という後悔と

どうすれば良いのか、という焦り。










.









それらの感情が、いびつなメリーゴーランドのように、

私の胸中をぐるぐると駆け巡る。










いっそのこと、このままドアを閉めて

何もなかったことにしようかと、一瞬本気で思ってしまう。










.










「あ、の…その……」

大貴「少しだけでいいから。」










.










重い前髪から覗かせる水分の多い瞳。








その姿が、高校生の時に何度も見た彼と

重なって見えて…










.









「……散らかってます、けど…」

大貴「…うん。ありがとう。」








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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時

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