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慧「……から聞いたんじゃないよ?」

「…え?」








慧「ははっ、残念ながら何も聞いてないのですよ。」









.









伊野尾先輩の予想外の答えに

思わず間抜けな声を上げる。








そんな私が面白いのか、伊野尾先輩は小さく吹き出して

さっきまで見てたアルバムを何枚かめくった。










.









慧「このちっこいの、大ちゃんでしょ?」

「えっ…」








慧「前に高校が同じだって言ってたから

もしかしたらと。」









.









トンと、人差し指で指したのは、

写真の中に小さく映り込む男の子の姿。










最初は誰か分からなくて。

だけどジッと目を凝らすと、その人は見覚えのある人…









.









慧「あとこれと、これと…これもだな。」

光「伊野ちゃんよく見つけたな。」








.










八乙女先輩も後ろから覗き込むように

アルバムを見る。








入学式に体育祭。

何気ない日常を写したものもある。









.










伊野尾先輩が指した人は、どれも大貴。

だけど、言われるまで全然気付かなかった。








伊野尾先輩が見つけた大貴は、どれも私を見ていた…

しかもこの写真は、大輝と知り合う前に撮られたもの。










どうして…









.









慧「その時からはなちゃんのことが

好きだったんじゃない?」










「ま、さか…」









.









だってそれは、あり得ない。

私が初めて大貴と会ったのは、文化祭前の図書室。









たとえ、大貴が私のこと知っていたとしても

それまで全く関わりがなかったのに…










.









慧「ふふ、わっかんないよ?」









***

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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時

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