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***
涼介「だから、二度と大ちゃんに
会わせないようにした。」
.
私の知らない真実を、涼介は切ない表情を浮かべながら、
あっと言う間に完成させた。
.
真っ直ぐにむけられる視線と、
揺るぎない肯定。
予想していた答えだったけど
いざそうだと言われると、目の前が真っ暗になる。
.
優雪「話は終わったかな?」
.
早く終わらしてくれと言わんばかりの
つまんなそうな声が聞こえてくる。
私と涼介が話してる間、暇していたのか
ゆきちゃんはスマホを弄っていた。
.
優雪「そろそろ花寺つぼみさんにお線香あげたいんだけど。」
涼介「は…?そんなの許されるわけ…」
優雪「許されるよ?義理とはいえ、私の母でもあるんだから。
花寺つぼみは私の家族を壊した私の義母。」
.
ゆきちゃんの憎しみに満ちた声が
また聞こえてくる。
そんなゆきちゃんを涼介は止めていたけど、
もう何も聞こえてなかった。
.
「かえって…」
.
独り言のような囁き。
だけど、その小さな声が聞こえたのか
二人の声がピタリと止む。
.
優雪「え、なんで?どうして?
さっきも言ったけど、私の母親でもあるのに…」
「お願いだから帰って。」
優雪「やだよ。ちゃんとあの人の顔を見るまで
帰れるわけがない…」
「いいから帰ってよ!」
.
誰の顔も見ずに、怒りをぶつけるように
大声で叫んだ。
一気に色んなことを知らされて
心がぐちゃぐちゃだった。
.
突然母親が死んで、その母親が不倫していて
私には義妹がいて、その家族は私たちのせいで壊れたって。
しかも、私だけが知らなくて
傍にいてくれた涼介は知っていたって。
.
「……っ。」
.
もう何を信じたらいいのか
分からなかった。
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
