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光「この荷物はここでいい?」
「あっ、はい。
えと、手伝わせてしまってすみません…」
慧「あはは。気にしないで。
こういう力仕事は男に任せるべきだよ?」
.
次々と段ボールをまとめて外に出してくれる
八乙女先輩と、
頭にハチマキを巻いて、気合を入れてる雰囲気を出すものの、
畳の上でゴロンと胡座をかいてる伊野尾先輩。
.
光「そう言う伊野ちゃんは、一切力仕事してないよな?」
慧「こんなか弱くてほっそい腕での力仕事は無理だし。」
光「自分で言うな。」
.
ペシっと八乙女先輩が軽く叩いて
伊野尾先輩は顔を顰める。
.
今日は、週に一度の遺品整理の日。
母が亡くなり、私も寮住まい。
誰も住む人がいなくなったから、
この家を処分することになった。
.
本当は業者に頼みたかったけど、
高くつくから自分で遺品整理をしてるけど、
一人じゃ整理出来ない量だから
先輩たちがいて、正直助かってる。
.
慧「はなちゃん、これはー?」
「あ…それはこっちの箱にお願いします。」
慧「…だって?」
光「だってじゃねぇわ。少しは動けぃ!」
慧「はぁい。」
.
ただ、どうして先輩たちがこんな所にいたのかが
未だに分かってないけど…
でも、母の思い出が詰まった品数の整理を
一人でやるのは正直辛かったから。
先輩たちがいてくれてるおかげで
悲しまずには済んでいた。
.
光「にしても、本当に多いね。」
「すみません、迷惑かけちゃって…」
光「ごめんごめん。そんなつもりで
言ったわけじゃないからね?」
.
八乙女先輩はそう言いながら腕を捲り、
大きな家具をどんどん外に運び出す。
伊野尾先輩は沢山の本をまとめて紐で縛って。
ふと、近くに置いていた写真を一枚手に取った。
.
慧「はなちゃん、これ、やまだ?」
「あ…はい。」
慧「じゃあ…この人は?」
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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時