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***
ヒューッと吹いた強い風。
寒そうな木の枝にわずかに残っている葉を
大きく揺らす。
.
口から出る吐息は白くて、
頬に触れる空気は冷たい。
冬の到来を告げる色…
.
「はなって最近彼氏と別れた?」
.
昼休みの学食。
唐突な友達の言葉に食べていたうどんが
口から飛び出しかけた
.
「な、何急に…」
「やっとはなが学校来たと思ったらあのイケメンくん見ないし、
首、ずっと綺麗だし。」
「なっ…!」
.
友人の言葉に今度は鼻に入りそうになる。
咳き込みながら咄嗟に手で押さえるけど、
意味ないからって笑われた。
.
「で、彼氏と別れたの?」
「別れて…ない。涼介とは距離置いてるだけ。」
「私、山田くんの名前一回も出してないけど。」
「ゴホっ…!」
.
落ち着こうと飲んでいたお茶が
今度は気管に入りそうになる。
キッと友人を睨むけど、彼女は頬杖を付いて
口角を上げてるだけ。
.
「やっぱり彼氏は山田くんだったんだ。」
「…っ、嵌められた…!」
「はなが勝手に言ったんでしょうが。」
.
落ち着きなよ、って他人事みたいに言うけど
誰のせいだと思っているのか。
私は嘆息をつくと、
ぼんやりと窓の外を眺めた。
.
“あの日”から、数ヶ月経つ。
涼介からの連絡はピタリと来なくなって、
会うこともなくなった。
授業は被らなくても、
廊下ですれ違ったりするかもと期待してた。
.
だけど、そんな事全くなかった。
同じサークルに入っているのに、
見かけることは一度もなくて…
.
「でも意外。山田くん、はなのこと溺愛してたのに
なんで距離置いてるの?」
「できあい…?」
「知らないの?山田くん、はなといる時、
目尻とかすんごく垂れてたんだけど。」
.
有り得ないって顔をさせる彼女。
私は胸が痛くなってギュッと押さえる。
.
「あと、有岡大貴先輩…だっけ。
あの人もはなのこと見てたような…」
「…っ、それよりもうすぐ試験だよ!」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
