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***







私が言い切る前に、

涼介の口が開いた。








涼介が近付いてくる。

そして、私の前に立った。









.









涼介「A。」









.









白くて大きな手が私の手を握る。

そしてもう一方の手は私の頬に添えられた。









暖かい。嬉しい。

そして同じくらい…息苦しい。









.









涼介「…A。」









.









目を瞑ると涼介の息遣いを感じるほど

傍に来たのが分かった。









でも…唇は触れなかった。









.









涼介「ごめん、別れるは…無理。」









.









ポツリと涼介が囁く。








頬に触れていた手が離れて、

その手は私の肩に触れた。









.









涼介「自分から言っといてだけどさ。

俺…やっぱりAが好きなんだよ。」









.









引き寄せられることはないけど、

涼介の甘いにおいが分かるくらい距離が近い。









安心するにおい…









.









涼介「好きすぎて、ヤバいの。」









.









涼介と視線が絡まって、私の目からは

安心感や、これからのことへの不安感で涙が溢れ出した。









.









涼介「泣くなって。」

「…っ。」








涼介「だいじょうぶだから。」









.









ふっと笑みを漏らすと、

端正な顔がゆっくりと近づく。








.









大丈夫と、涼介は何度も言ってくれる。









涼介の手が、私の頭を撫でる。

優しい顔が目に浮かぶ。









その温もりにほっとした瞬間、

涼介はそっと唇を動かした。









.









涼介「けど、白井優雪や大ちゃんの事で

いっぱいいっぱいなのも、ちゃんと分かるしさ…









なのに、俺なんかの事で苦しんでほしくないし、

これ以上お前を縛るのはもうダメ。」









***

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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時

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