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私が言い切る前に、
涼介の口が開いた。
涼介が近付いてくる。
そして、私の前に立った。
.
涼介「A。」
.
白くて大きな手が私の手を握る。
そしてもう一方の手は私の頬に添えられた。
暖かい。嬉しい。
そして同じくらい…息苦しい。
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涼介「…A。」
.
目を瞑ると涼介の息遣いを感じるほど
傍に来たのが分かった。
でも…唇は触れなかった。
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涼介「ごめん、別れるは…無理。」
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ポツリと涼介が囁く。
頬に触れていた手が離れて、
その手は私の肩に触れた。
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涼介「自分から言っといてだけどさ。
俺…やっぱりAが好きなんだよ。」
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引き寄せられることはないけど、
涼介の甘いにおいが分かるくらい距離が近い。
安心するにおい…
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涼介「好きすぎて、ヤバいの。」
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涼介と視線が絡まって、私の目からは
安心感や、これからのことへの不安感で涙が溢れ出した。
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涼介「泣くなって。」
「…っ。」
涼介「だいじょうぶだから。」
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ふっと笑みを漏らすと、
端正な顔がゆっくりと近づく。
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大丈夫と、涼介は何度も言ってくれる。
涼介の手が、私の頭を撫でる。
優しい顔が目に浮かぶ。
その温もりにほっとした瞬間、
涼介はそっと唇を動かした。
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涼介「けど、白井優雪や大ちゃんの事で
いっぱいいっぱいなのも、ちゃんと分かるしさ…
なのに、俺なんかの事で苦しんでほしくないし、
これ以上お前を縛るのはもうダメ。」
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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時