253 ページ3
***
優雪「あ、正確に言えば、
山田くんが“聞かせてた”だと思うけどね?」
.
“大貴、本当に可哀想”
ゆきちゃんの小さな呟きに、
頭を鈍器で殴られた気がした。
.
失神するほどの感覚で、目の前の
一通りの嘆きを見て、吐きそうになる。
小首を傾げて、憐れむような目をするゆきちゃんが
お伽噺に出てくる魔女のようにも見えた。
.
だけど、ゆきちゃんの話が全部本当だとしたら
本物の魔女は、私。
そしてそれは…
.
「…一つ、聞かせて。」
.
私はゆきちゃんではなく、
涼介の方に目を向けた。
私のことを目の敵にしていた彼女ではなく、
ずっと一緒にいてくれた涼介を…
.
涼介「ん…なに?」
.
少し長めの前髪から
涼介はゆるりと瞳を細める。
私を見て、涼介は私が何を聞こうとしているのか
理解してるようだった。
.
「全部、知ってたんだよね…?
私とゆきちゃんの血が繋がってたことも、
隣の部屋に大貴が住んでたことも。」
.
胸の鼓動が自然と速まる。
涼介は私の言葉に窮してるようだった。
俯き、自分の甲をじっと眺めている。
.
「ねぇ、答えてよ。」
.
涼介の答え次第で、信じてきたもの全て
無くなるような気がした。
やがて涼介の目がスッと細まり、
小さく息を吐くと、思い切り眉尻を下げた。
.
涼介「うん。」
.
あまりにもか細い声だった。
聞き間違いかとも思ったけど、
涼介はちゃんと頷いた…
.
「…っ、いつ知ったの?」
.
涼介「…部活で大ちゃんと再会したとき。
ぶちギレて、大ちゃんを連れ出したあと、
教えてもらった。
Aと別れた本当の理由も、
彼女である白井優雪のことも、全部。」
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
