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***
涼介の手に引かれて、ガチャとドアが閉まる。
涼介が来てくれて、涼介が私を庇ってくれた。
だけど、どう接すればいいか分からなくて、気まずい。
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恐る恐る涼介を見上げると、
涼介は普通に自分の部屋みたいに入って行く。
それに勝手に冷蔵庫なんか開けて
中少なくね?なんて言って笑っている。
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涼介「…てかさ、学祭終わった途端レポートの提出量ヤバくない?」
「う、ん…」
涼介「こっちで結構参ってるんだし短大なんかもっと多そう。」
「そう、だね…」
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普通…
あまりにも普通だった。
会話の内容は。
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涼介「おかげでさ…なんなの。
ゲームする暇ないって。」
.
ただ、涼介にしては珍しく口籠っていたり早口だったりで
涼介も何を話せばいいか分からなさそうで…
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涼介「…悪かった。」
.
だけど、小さな囁きが聞こえてきて
振り返れば、涼介はそこで頭を下げていた。
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「悪かったって…」
涼介「Aの母ちゃんのこと、白井優雪のこと…
黙っててごめん。」
.
頭を上げる事なく、ぽつりと涼介が言う。
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「なんで、言ってくれなかったの…?」
涼介「Aのため。」
.
私の質問に即座に答える涼介。
だけど、涼介は小さな笑みを溢すと
けんもほろろな否定の言葉をぶつけてきた。
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涼介「って言いたいけど違う。」
「違うって…」
涼介「もちろんさ…お前のためっていうのもあるけど
本当は…自分の為に言わなかった。」
.
ゆっくりと涼介が顔を上げた。
その表情は、普段の涼介から想像つかないような
途方に暮れたものだった。
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「なんで…」
涼介「言えばお前、大ちゃんのとこ行くだろ?」
「え…?」
.
だいき…?
思ってもなかった涼介の言葉に
つい聞き返してしまう。
.
そんな私に涼介は小さく息を吐くと、
眉を下げ、唇を震わせた。
.
涼介「だってさ、どんだけ俺が頑張ったって
お前…俺のこと見てくれねぇじゃん。」
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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時