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涼介の手に引かれて、ガチャとドアが閉まる。









涼介が来てくれて、涼介が私を庇ってくれた。

だけど、どう接すればいいか分からなくて、気まずい。









.








恐る恐る涼介を見上げると、

涼介は普通に自分の部屋みたいに入って行く。









それに勝手に冷蔵庫なんか開けて

中少なくね?なんて言って笑っている。









.









涼介「…てかさ、学祭終わった途端レポートの提出量ヤバくない?」

「う、ん…」









涼介「こっちで結構参ってるんだし短大なんかもっと多そう。」

「そう、だね…」








.








普通…

あまりにも普通だった。









会話の内容は。









.









涼介「おかげでさ…なんなの。

ゲームする暇ないって。」









.









ただ、涼介にしては珍しく口籠っていたり早口だったりで

涼介も何を話せばいいか分からなさそうで…









.









涼介「…悪かった。」









.









だけど、小さな囁きが聞こえてきて

振り返れば、涼介はそこで頭を下げていた。









.









「悪かったって…」








涼介「Aの母ちゃんのこと、白井優雪のこと…

黙っててごめん。」









.









頭を上げる事なく、ぽつりと涼介が言う。









.









「なんで、言ってくれなかったの…?」

涼介「Aのため。」









.









私の質問に即座に答える涼介。









だけど、涼介は小さな笑みを溢すと

けんもほろろな否定の言葉をぶつけてきた。









.









涼介「って言いたいけど違う。」

「違うって…」









涼介「もちろんさ…お前のためっていうのもあるけど

本当は…自分の為に言わなかった。」









.









ゆっくりと涼介が顔を上げた。








その表情は、普段の涼介から想像つかないような

途方に暮れたものだった。








.








「なんで…」

涼介「言えばお前、大ちゃんのとこ行くだろ?」








「え…?」








.








だいき…?









思ってもなかった涼介の言葉に

つい聞き返してしまう。








.









そんな私に涼介は小さく息を吐くと、

眉を下げ、唇を震わせた。








.









涼介「だってさ、どんだけ俺が頑張ったって

お前…俺のこと見てくれねぇじゃん。」








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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時

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