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***
「…っ。」
.
ゆきちゃんの質問に、
また、あの時のように胸がヒュッとなる。
.
「なに、言って…」
優雪「今度こそ、ちゃーんと質問に答えて?
嫌いなんでしょう?こんな酷いことする私が。」
.
あの時よりずっと、体は震えていた。
あの時よりずっと、心臓が鳴り響いていた…
.
“怖い”って。
確かにあの時、そう思っていた。
そして、それは今も変わらず…
.
だけど、何故かゆきちゃんのこと、
“嫌い”だなんて思ったことがなかった。
“関わりたくはない”けど、
一緒にいたくはないって、思ったことがなかった。
.
優雪「ねぇ、どうなの?」
.
“怖い”けど、いつか仲良くなれたらって
心のどこかで願っていて。
そんなの、綺麗事だって分かっているけど
いつか、友達になりたいって願っていて。
.
「私は…」
.
だって入学式のとき、ゆきちゃんは初めて
私に話しかけてくれたから。
“よろしくね”って言ってくれて嬉しかったから。
ここに来て、初めて出来た”友だち”だって思えたから。
だから…
.
優雪「もう、遅いよぉ。
待つのも疲れたし、私が答えるね?」
.
ゆきちゃんの口が小さく開いた。
.
そして、少し身長が小さい私の目線に
合わせるようにして屈み込んで。
満面の笑みで、ゆきちゃんは答えた…
.
優雪「私はね、はなちゃんのことが大っ嫌い。」
「…っ。」
優雪「それに、私の家族をバラバラにした
はなちゃんの方がよっぽど酷いよ。」
.
込み上がる笑みを見せつけるように
手で口元を隠すゆきちゃん。
そして、落ち着かせるように小さく息を吸って
酷く優しい眼差しを…私に向けてきた。
.
優雪「よかったね、はなちゃん。
これで思う存分悲観振ることが出来るよ?」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
