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***
「全部がいやになる…」
.
あの日のことを思い出して出てくる、大きなため息。
ぐしゃぐしゃと頭をかいて机にうなだれて。
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ふと、カレンダーを見る。
こっちに帰ってきて1ヶ月。
そして、涼介が料理を詰めて持ってきてくれてるタッパーも、
まだ返せていない。
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さすがに、このまま
持っておくわけにもいかないか…
この時間は涼介は講義のはず。
おばさんに返せば、涼介に会うこともない…
.
「ふぅ…」
.
ゆっくりと立ち上がり、
タッパーを鞄に詰める。
ずっと口を聞いてなかったとはいえ、
お礼として、一緒に何か渡さないと…
途中のスーパーで
お菓子でも買って行こう。
.
「行こ…」
.
準備は、出来た。
タッパーを詰めた鞄とお財布。
あとは携帯を持って、私はドアノブを回す…
.
「…やっと見つけた。」
.
外に出たとき、そんな声がして
そちらを振り向く。
.
そこに立っていたのは、“あの日以来”、
ずっと会っていなかった人。
ちゃんと話をしないといけない人なのに
ずっと会いたくなかった人…
.
「久しぶり。」
.
その声に、ぶるりと背中が震える。
その人の顔を見て、私は何も言えなかった。
.
「どうしてここにいるの?って
顔をしてる。」
.
薄く笑いながら近づいてくるその人が、
私はやっぱり“怖い”。
あの日の出来事が頭の中で流れて
一気に胸が苦しくなった。
.
「とりあえず中に入れてくれない?
検査の結果、持ってきたんだ。」
.
目線を下ろすと、手に持っていたのは
“DNA鑑定結果報告書”と書かれた茶封筒。
その人は小首を傾げると
いつもよりワンオクターブ高い声で口を開いた。
.
優雪「いいでしょう?
はなちゃん。」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
