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***
「…っ!」
.
まるで鏡を見ているようだった。
髪型こそ違うけど、輪郭とか顔のパーツとか
ほとんど私と同じ。
.
明穂さんや知念くん。
周りからはよく似てると言われていたけど、
まさかここまでそっくりだとは思わなくて…
.
「…っ、やめて!」
.
瞬時に怖くなり、頬に添えられていた手を
思わず払い除けた。
ゆきちゃんはそれに顔をしかめたりせずに
いたいなぁってクスクス笑う。
.
優雪「でも大貴、かわいそうだと思わない?」
「え…」
.
ゆきちゃんの目線が床に下がり
発した言葉。
“大貴”の名前が出てきて
私は顔をあげてしまった。
.
優雪「さっき言ったでしょう?
大貴はあなたを守っていたって。」
.
綺麗な爪をいじりながら
ゆきちゃんの口が再び開く。
.
優雪「なのに、はなちゃんは山田くんと付き合い始めて
挙げ句の果てに、大貴に声まで聞かせちゃって。」
「こえ…?」
.
あくまで明るいトーンなのに、
胸を抉られているよう。
自分でも声が震えているのが分かる。
.
優雪「あれ、頭のいい花寺Aなのに
分からない?
…もしそうなら、山田くんも可哀想。」
.
今度は涼介の歯を軋む音が聞こえてきた。
だけど、言い返すことはなく黙ったまま。
そんな私たちにゆきちゃんはとても可笑しそうに
クスクスと笑って言い放った。
.
優雪「大貴の部屋ははなちゃんの隣なんだよ?
しかも学生マンションだから壁も薄いし…
はなちゃんが山田くんに抱かれてる声なんて、
大貴に丸聞こえだったと思うけどなぁ。」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
