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優雪「…これが、私の過去と
Aおねぇちゃんの秘密だったのです。」
.
ゆきちゃんがどこか遠い国の絵本を閉じるように
小さく息をつく。
続きがあるかと思ったけど、
笑顔を私に向けたまま口を閉じる。
.
私は…驚くとか怒りを覚えるとか
悲しみとか。
そういった感情が生じる間もないほどに、
情報を処理するのにいっぱいいっぱいで…
ただ、カラカラと喉が乾いていた。
.
涼介「…っ、あんた…さっきから何
デタラメばっか言ってんの…?」
.
重たい空気の中、言葉を発したのは
涼介だった。
ゆきちゃんは微笑んだまま
涼介の方に顔を向ける。
.
涼介「何か根拠があるわけ?姉妹とかさ…
ちゃんとDNA鑑定とかやった上で言ってんの?なぁ!」
.
声を震わせながら、涼介はたった一つの答えを求めて、
ゆきちゃんに掴みかかろうとする。
.
「りょうすけ、やめて…」
涼介「A。さっきの全部嘘だって。絶対信じるな…」
優雪「あー、うるさい。」
.
ゆきちゃんの気だるげな声により、
空気がピリッと強ばる。
.
今まで聞いたことのない声色…
ゆきちゃんはまるで害虫でも見るような
迷惑気な様子で、口を開く。
.
優雪「山田くんには関係ないでしょう?」
涼介「だから関係あるとかじゃなくて!」
優雪「確かに、DNA鑑定なんてしてないし、
私の嘘って言われても仕方ないかもしれないけど…」
.
胸元に掴みかかろうとした涼介の手は
空中にぶら下がっていた。
ゆきちゃんは涼介を黙らせた後、
改めて射抜くように鋭い視線を私に投げてきた。
.
優雪「でも、根拠ならちゃんと
あるじゃない。」
.
ゆきちゃんの手が私の頬に伸びる。
冷たくてひんやりして。
ゆきちゃんと目が合った瞬間…
背筋に冷たいものが走った。
.
優雪「見てみて?
私とAおねぇちゃんの顔、そっくりだよ。」
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作者名:まりも | 作成日時:2021年6月20日 23時