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***
涼介「って、もう泣いてるし。」
.
涼介はそう言って、困ったように私の頬を
二回、三回と頬を撫でる。
.
そんな涼介は優しすぎて
本当に私に甘くて、甘すぎて。
私は目が涙でいっぱいになりながら
精一杯涼介を睨み付けた。
.
「…っ、誰のせいだと思ってるの…」
涼介「誰のせい?」
「涼介の、せい。」
涼介「んー、Aが好きだから仕方ないね。」
「…っ、ばか…」
涼介「俺がバカになるのは、Aのせいだよ?」
.
苦し紛れに私が吐く毒にも、
涼介は嬉しそうに吐息を零すのみ。
.
完全に涼介のことしか見えていなかった。
もう一度、涼介が私の頬に手を伸ばそうとしたとき、
ゆきちゃんの怒りの籠った近い声が、この空気を切り裂いた。
.
優雪「いい加減にして!」
.
その怒声にビクリと背筋を震わせて、
私は咄嗟に涼介から離れる。
.
そしてそのまま、視線を横へとずらしてみれば、
憤然とした面持ちで私…
いや、涼介を睨み付けていた。
.
優雪「さっきからなに!?
二人して私を馬鹿にしてるの!?」
「ゆ、ゆきちゃん…」
.
さっきまでのおしとやかな彼女からは
想像もつかない程の剣幕。
ゆきちゃんは唾をゴクリと呑んで
私を指しながら涼介に叫んだ。
.
優雪「山田くんも知ってるでしょ!?
この子は…っ、
コイツは私の家族をバラバラにした娘!
あなたという彼氏がいるのに、
二年も前に別れた大貴に未練があって!
なのに、ずっと誰からも愛されて、
パパや大貴まで…っ。
私の大切な人たちを
また私から取ろうとしてる最低な子だって!」
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年6月20日 23時
