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***
あれから、大貴と涼介が
帰ってくることはなかった。
八乙女先輩の一言で
ひとまず私たちは解散して。
マンションに着いたのは
20時過ぎだった。
.
「お腹空いた…」
.
ぐぅ、とお腹の音が鳴って
ソファへと突っ伏す。
.
だけど料理は作れないし、
いつも作ってくれる涼介はいない。
なんなら、彼は今、私のせいで
大貴と一緒にいる…
.
「ぐぅ…」
.
それでも、こんな状況なのに
お腹がすくなんて人間、大したものだと思う。
.
涼介と大貴、今頃なにを話しているのだろう…
きっと涼介は怒ってるだろうな。
大貴と会ったこと、涼介に言ってないのだから。
別れたことも言わなきゃいけなかったのに…
なんて思っていた時だった。
.
ピンポーン…
オーソドックスなインターホンの音が鳴り響いて
私は玄関のドアを開けた。
.
涼介「よっ。」
「あ…うん。」
.
そこにいたのは、深く帽子を被って
黒縁眼鏡をかけた涼介。
軽く手を上げてる涼介に
少し戸惑ってしまった。
絶対、怒ってると思ってたのに…
.
涼介「お腹空いたっしょ?何か作るわ。」
「え…いいよ。」
涼介「いいって。俺も腹減ってたし。
っても疲れてるから焼きそばでいい?」
.
袖を捲って台所に立つ涼介。
いつも通り…
ううん、それ以上に涼介は優しい。
聞きたいことがありすぎる。
.
大貴と何を話したの?
大貴に何て言ったの?
なんで笑っているの?
なんで何も言わないの?
なんで、なんで…
.
「あの、涼介…」
涼介「大ちゃんから聞いた。」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年2月22日 22時
