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***
夢を見た。
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まん丸い目を細めて
ゆきちゃんの黒い髪を撫でる彼の姿。
鍛えられた筋肉質な二の腕で
ゆきちゃんを抱きしめる光景。
貧乏人の私を見下す、大貴の瞳。
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私は、大貴に失恋した…
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「おーい、そろそろ起きろー。」
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肩を揺らされる感覚に
落ちていた意識が浮上する。
重い瞼を開けると、ぼんやりとした視界の中に
整った顔が映った。
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「りょうすけ…?」
涼介「おはよ。」
「なんでりょうすけがいるの…」
涼介「合鍵持ってるからだよ。忘れたのか?」
「んん…」
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うとうとしながらベッドから起き上がる。
そういえばお母さん、涼介に合鍵預けてたっけ。
娘をお願いね、って言って…
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「なに…?」
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じーっと顔を覗き込まれて
思わず後ずさる。
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幼馴染といえど、相手は男の子。
少しだけドキドキして…
だけど涼介は眉を下げて
親指で私の目尻を擦った。
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涼介「泣いたのか?」
「えっ…」
涼介「目ぇ腫れてるし、顔色悪いぞお前。」
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涼介に指摘されて
思わず顔を背ける。
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大貴と別れたあと、私は泣いた。
泣きまくった。
だけど、いくら泣いても気持ちが晴れることはなくて
結局泣きつかれてそのまま寝てしまったんだった…
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「ごめ、大丈夫…」
涼介「ならいいけどさ。ほれ。」
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渡されたのは、涼介が作ってくれた
ホットタオル。
よかった。
何があったか聞かないでくれるんだ…
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涼介「ほい、ココア。」
「ありがと…」
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温かいココアを受け取って
用意してくれた朝食を頬張る。
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涼介はかなりのお人よしだと思う。
顔面だけじゃなくて、料理も運動神経もいいから
モテるだろうに、私の都合に合わせて大学を選んだり。
可愛い彼女を作らず、色気皆無の
幼馴染の世話をしてるのだから。
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涼介「今日何限から?」
「二限。」
涼介「俺も。一緒に出るか。」
「うん。」
.
どうして涼介は
ずっと傍にいてくれるのだろう…
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年2月22日 22時
