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***
翌日。
授業が始まる前に見つけておこうと
少し早めにスタジオに足を運んだ。
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「あれ、ない…?」
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だけど、昨日鞄を置いてた近くを見てもない。
最後、触ったのはここだったのに
どこを探しても見つからない。
なんで…?
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「あれ、はなちゃん?」
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スタジオを出たとき、
名前を呼ばれて肩がピクッと動く。
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聞き覚えのある高い声。
目の片隅に見えるのは、黒髪ショートカット…
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「ゆき、ちゃん…」
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振り返ると、そこにいたのは
今の大貴の彼女だった。
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優雪「こんなところでどうしたの?」
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大きな瞳と微かに揺れる髪の毛。
首を傾げる姿は可愛いのに
私は、ゆきちゃんを直視できない。
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「ちょっと、スマホを無くして…」
優雪「え、そうなの?見つかった?」
「ま、だ…どこにも無くて…」
優雪「大変じゃない。早く探さないと!」
.
震える声。
本気で心配してくれてるのに。
怖いことなんて何もないのに。
ゆきちゃんが“大貴の彼女”だけで、
強ばってしまう。
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優雪「学生課に聞いてみた?」
「ううん…」
優雪「じゃあ電話で聞いてみるね。」
.
その場で電話をかけてくれるゆきちゃん。
本当にどこにあるんだろう。
誰かが持ってるとか?
.
私はスカートを握りしめて
床に写る自分とにらめっこして。
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優雪「はい、スマートフォンです。
昨日から無くて…
あ…カバーは黒で、
裏に林檎の絵があります。」
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ゆきちゃんは事細かく特徴を説明して。
だけど、彼女の表情は暗くて
やっぱり届いてないと分かる。
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優雪「んー、届いてないって。」
「だ、大丈夫。
落とした私が悪いし、迷惑かけて…」
.
“ごめんなさい”
口を開こうとしたとき…
何故か、引っ掛かった。
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どうして、いつ無くしたか知ってるの?
どうして携帯の特徴を知ってるの?
どうして、そんなに細かく知ってるの…?
.
おかしい…
だって私、昨日無くしたって言ってない。
ゆきちゃんの前でスマホを出したことも
一度も、ない…
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作者名:まりも | 作成日時:2020年2月22日 22時