検索窓
今日:3 hit、昨日:17 hit、合計:136,533 hit

62 ページ12

***








翌日。









授業が始まる前に見つけておこうと

少し早めにスタジオに足を運んだ。








.









「あれ、ない…?」









.









だけど、昨日鞄を置いてた近くを見てもない。









最後、触ったのはここだったのに

どこを探しても見つからない。









なんで…?









.








「あれ、はなちゃん?」








.









スタジオを出たとき、

名前を呼ばれて肩がピクッと動く。









.









聞き覚えのある高い声。

目の片隅に見えるのは、黒髪ショートカット…









.









「ゆき、ちゃん…」









.









振り返ると、そこにいたのは

今の大貴の彼女だった。









.









優雪「こんなところでどうしたの?」









.









大きな瞳と微かに揺れる髪の毛。









首を傾げる姿は可愛いのに

私は、ゆきちゃんを直視できない。









.









「ちょっと、スマホを無くして…」

優雪「え、そうなの?見つかった?」









「ま、だ…どこにも無くて…」

優雪「大変じゃない。早く探さないと!」









.









震える声。









本気で心配してくれてるのに。

怖いことなんて何もないのに。









ゆきちゃんが“大貴の彼女”だけで、

強ばってしまう。









.









優雪「学生課に聞いてみた?」

「ううん…」









優雪「じゃあ電話で聞いてみるね。」









.









その場で電話をかけてくれるゆきちゃん。









本当にどこにあるんだろう。

誰かが持ってるとか?









.









私はスカートを握りしめて

床に写る自分とにらめっこして。









.









優雪「はい、スマートフォンです。

昨日から無くて…









あ…カバーは黒で、

裏に林檎の絵があります。」









.









ゆきちゃんは事細かく特徴を説明して。









だけど、彼女の表情は暗くて

やっぱり届いてないと分かる。









.









優雪「んー、届いてないって。」








「だ、大丈夫。

落とした私が悪いし、迷惑かけて…」









.









“ごめんなさい”

口を開こうとしたとき…









何故か、引っ掛かった。









.









どうして、いつ無くしたか知ってるの?

どうして携帯の特徴を知ってるの?









どうして、そんなに細かく知ってるの…?









.









おかしい…

だって私、昨日無くしたって言ってない。








ゆきちゃんの前でスマホを出したことも

一度も、ない…







***

63→←61



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (225 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
916人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まりも | 作成日時:2020年2月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。