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「うわぁあん!
はなと離れたくないよぉお!」
.
季節は巡り、卒業式。
私は今日、高校から卒業する。
.
「やだぁあ!卒業したくないぃいい。」
.
二年前の春、大貴を送り出したばかりなのに
季節が巡るのは本当に早い。
暖かくなった空気。
噛み締めるように友人と抱き合う。
.
「山田くん!はなのことよろしくね!?
この子本当に勉強しか出来ないから!」
「うっ…」
涼介「ハイハイ…分かったからそのひどい顔
どうにかしなさいよ…」
.
「ちょ、ひどい顔って…はな、山田くんこんなだった!?」
「うん。こんなだった…けどね…?」
涼介「おい、こんなってどういう意味だよ!
つーか、あなたもAに毒吐いてるからね!?」
.
呆れたように涼介が笑う。
制服を着てここに来るのは今日が最後。
.
あれから、必死で勉強した甲斐あって
合格することができた。
そして、同じ学校に…
涼介は四年制大学だけど、
一緒に受かることが出来た。
今までずっと幼馴染をやって来たけど
これからもお世話になるんだろうな。
.
「それにしてもはなって凄いよね。
短大といえど、本当に首席で合格するなんて。」
.
最後のHRが終わり、何となく
離れがたい教室に残っていた時。
一緒に残っていた友人が
そう話しかけてきた。
.
「うん…私もビックリしてる。」
「あの頃のはな、本当に頑張ってたもんね。」
「うん…」
「大貴先輩に会うために。」
.
よしよしと頭を撫でられ、
思わず彼女に抱きつく。
高校に入って初めて出来た友だち。
何度彼女に励まされただろう。
.
「後悔しないようにね。」
「うん。」
「夏休みとか、遊ぼうね。」
「うん…」
「ちゃんと帰ってくるんだよ?」
「うん…!」
.
今度は私がひどい顔になる番。
……今日で最後。
本当に、最後。
.
三年間お世話になった校舎に別れを告げ、
私は、涼介と一緒にこの街を出た…
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作者名:まりも | 作成日時:2020年1月2日 21時