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***
“別れてほしい”
“ごめん”
.
あの日、そのメッセージが来てから
大貴とは一切連絡が取れなくなった。
.
訳が分からなかった。
喧嘩なんてしたことなかったし
約束の前日も、いつも通り電話をした。
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だから、そのメッセージが来たときは嘘だと思って
ずっと大貴を待っていた。
何時間も待っていた。
雨が降っても。
イルミネーションの点灯が終わっても…
だけど、大貴は来なかった…
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「進路調査、まだの人は早く出すように。」
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あれから季節は巡り、
気付けば3年生兼、受験生になっていた。
.
「はなはどこの大学行くか決めた?」
「ううん、まだ。」
「だよね。何を学びたいのかも分かんないし。」
「だねぇ。」
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友人と他愛もない受験生らしい会話をして
二人でため息をつく。
だけど、そんな会話をできるくらい
私は大貴のことを考えずに済んでいた。
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大貴に別れを告げられた時、
私は泣いた。
この感情をどこにぶつけていいか分からなくて
毎日涼介にしがみついていた。
だけど、涼介はイヤな顔せずに
ずっと傍にいてくれた。
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いい加減立ち直れ、なんて
言わなかった。
ただ、いつものように美味しいご飯を作って、
いつものように笑ってくれた。
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「進路かぁ…」
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家に帰って、進路調査表を取り出す。
進路なんて、まだ先のことだと思っていた。
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うちは特別貧乏って訳じゃないけど
母子家庭で、大学に行くお金の余裕なんて正直ない。
行けるとしても、短大か
もしくは、就職するか…
.
涼介「何見てんの?」
.
うちに来た涼介が
ひょいと紙を覗き込む。
.
スーパーの袋…
中には牛乳と卵とミンチ肉があるから
今日はハンバーグかな…
.
「進路希望…どうするか迷って。」
涼介「へぇ。」
.
冷蔵庫にしまいながら耳を傾ける涼介。
それから、おもむろに
リュックからたくさんの資料を取り出した。
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年1月2日 21時
