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8月…









「待ち合わせはここだよね…」









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初めて来た、見知らぬ駅。









ボストンバッグ片手に

LINEでのやり取りを何度も確認する。









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お泊まりデート…

この日、初めて彼の家に呼ばれた。









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彼氏に会いに行くって言うのは照れくさかったから

お母さんには、“友だちの家でお泊まり”と言ってきた。









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だけど、行ってらっしゃいって言われた時のお母さんは

どこか微笑ましそうにこちらを見ていたから…









多分気付かれてるんだろうな。









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会うのは半年降りだから、

この日をずっと楽しみにしていた。









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メイクも初めてしてみたけど、変じゃないかな?

気付いてくれるかな…









なんて言ってくれるんだろう…









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そわそわして、落ち着かない。









左腕に着けてる時計を何度も確認する。

待ち合わせの時間まであと少し…









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「…おねーさん一人?」

「へっ…」









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突然背後から低い声がして

肩がビクッとする。









おそるおそる振り返ると、

そこにいたのは、キャップを被って鼻をつまんだ…









.









大貴「びっくりした?」









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に、っと歯を見せて笑う彼。

Tシャツから見える腕は少し日焼けしていた。









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「び、びっくりした…」

大貴「へへ、なんちゃってナンパ大成功!」









「ふふ、なにそれ。」









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いたずらに笑いかける彼。

久しぶりのこの感覚が嬉しい。









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大貴「あれ、メイクしてる?」









.









私のボストンバッグを持ってくれる彼。









少し高い目線の彼とばっちり視線が交わって、

照れる。









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「……うん。」









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気付いて、くれた。









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大貴「へへ、おしゃれして来てくれたんだ。」

「う、うん。」









大貴「俺のために?」

「うん…」









.









電車に乗る彼を追いかける。









座席に着くと、空いた片手でくしゃりと

私の頭を撫でられた。









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大貴「嬉しい!」









.









屈託のない笑顔に

いつもキュンとさせられる。









不安になっちゃうくらい、好き。









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「わ、私も…」

大貴「ん?」









「私も、“大貴”に褒めてもらえて嬉しい…!」









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作者名:まりも | 作成日時:2020年1月2日 21時

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