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大貴「んん、と…」
.
そんな私を見て、大貴は眉を下げた。
困ったように。
.
あぁ、呆られたのかな。
おどおどし過ぎてる私は、コドモだから。
コドモの私は臆病者で、
余裕綽々の先輩はオトナで…
.
大貴「そんないきなりガオーしないから
安心して。」
「……っ。」
.
私の目線に合わせて屈む先輩。
まるで、安心させるように…
…私は、卑劣な自分に恥ずかしくなった。
コドモの私が、とても恥ずかしい。
.
大貴「んじゃ、また明日…」
.
大貴先輩が、離れていく。
ダメだよ私。
ここで勇気を出さないでどうするの。
がんばれ、がんばれ…
.
「あの…!」
.
やっとの思いで吐き出された声。
踵を返していた先輩の肩がビクッとして。
.
「ご、ごじゅう…」
大貴「ん?」
「50位内に入ってたら……その…
ごほうび……」
.
ぼそぼそとした声。
自分でも聞き取りづらくて、
何言っているのか分からない。
緊張を紛らわす為に握った拳は
汗で滲んでいた…
.
大貴「…50位以内かぁ。」
.
大貴先輩が、ポツリと呟く。
くしゃくしゃと髪の毛をかいて、
ふふっと、笑って。
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大貴「ハードル高ぇな。」
.
だけど、どこか嬉しそうで…
じんわりと胸があったかくなっていく。
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大貴「ん、頑張る。」
.
いひひと笑う先輩。
それから、私の頭をぽんっとした。
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大貴「頑張るから、Aも覚悟しておくよーに。」
「……っ。」
.
相変わらず恥ずかしくて、声が出ない私は…
コクン……頷いた。
だけど、言葉を出せなくても
大貴先輩は、満足そうに笑う。
.
次の模試まで…あと1ヶ月を切っていた。
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作者名:まりも | 作成日時:2020年1月2日 21時