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______少年院に入ってから、約二年後。
漸く檻の外に出ることが許されたオレは、門の外で待ち構えていた男に目を見開いた。
……更生期間中、ずっとオレに手紙を送り続けてきた男だった。
「場地じゃん。なんか見ねぇうちに見た目変わった?」
「よォ。そーゆうオマエもいつの間に髪染めたんだ?」
「あぁ、これ?ネンショー仲間に借りたんだよ」
母さんが持ってきた荷物を不良らしく肩にかけて、場地と一緒に家までの道を辿る。
歩く度に『リン』『リン』と揺れるピアスのお陰か、ひどく気分がいい。
この音を聞けば聞くほど、オレの中のAへの復讐心が強くなってくる。
敵であるアイツだけは、絶対に殺さなければならない。
味方じゃないなら殺すしかない。
でも安心しろよ。
オレは今でもオマエの事大好きだからさ、わざと生きながらえたりさせない。
だって、苦しみたくないだろ。
「______一虎」
隣を同じペースで歩いていた場地が、突然オレの名前を呼ぶ。
咄嗟にAへの殺意を押し込めながら顔を上げれば、場地は何かを察したように、息を呑んで。
それから、立ち止まってオレの腕を掴んだ。
まるで、「それ以上先に行くな」とでも言いたげに。
……なぁ、場地。
まかさオマエまで、オレの邪魔をしようとか思ってんのか?
「……頼むから、Aを恨まないでやってくれねぇか。アイツもアイツで、すげぇ苦しんでんだ」
「は?」
なんで場地がAの名前を口にしてる?
その呼び方はオレだけのモノだろ?
ガキの中では唯一オレだけが呼んでて、そんなオレにAはよく「私にそんな態度取んのはオマエだけだ」って笑って。
なのに、何勝手にオマエがその名前を口にしてんだよ。
やっぱりオマエもオレの敵なのか?
全てを失ったオレから、これ以上、何を奪うつもりだ?
「ッ、一虎!」
「二度とその名前を口にすんじゃねぇ。次はオマエでも殺す」
それだけを吐き捨てたオレは掴んだ場地の胸ぐらからパッと手を離し、何事も無かったかのように「さて、何の話だっけ?」と笑ってみせる。
耳元で垂れ下がった鈴が、オレの殺意を肯定するように悲鳴をあげた。
アイツはオレの中に入りすぎた。
だから
そうすれば、長年抱えてきたこの想いとも、決着をつけられそうな気がするんだ。
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黒崎結利加(仮名) - うぅ、、、な、涙がぁ、、、何回読み返したのだろうか。この作品に出会えてよかったです‼主様、これからも頑張ってください!応援してます‼(え、イラストうますぎません?教えてください‼師ショー((殴) (2023年4月6日 3時) (レス) @page34 id: 5c1ce3d064 (このIDを非表示/違反報告)
Naifu - 凄い作品ですね!歳離れてるのってなんか変な感じで終わるのかな…なんて失礼なこと思ってたんですけど、まとまりとかお互いの関係的なものがよくて夢中になって読みました!本当になんか心があったまりました。これからも頑張って!無塩バターさんのこと応援してます! (2021年12月6日 20時) (レス) @page33 id: 1c04a135ec (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - 姫乃さん» 小説の方もイラストの方も褒めてくださりありがとうございます!感じたことを言葉に表すのって難しいので、なんかいいなと思って頂けただけでも嬉しいです!確かに、作者自身もよく逃げ出したいと思うことがあるので、自然と案が浮かんだのかもしれないです(笑) (2021年11月21日 17時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
姫乃(プロフ) - とっても素敵な小説でした!!その上絵もお上手で!!なんて言うか上手く言えないけどなんかいいなって思える素敵な作品でした!!主様が平日更新が忙しい。ということを言ってらっしゃってそんな主様だから書けた作品なのかななんて思ったり。素敵な作品でした!! (2021年11月19日 1時) (レス) @page35 id: 1356d63b83 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ミルクレープさん» コメントありがとうございます!きっと彼らの絆はこの先一生切れることなく繋がっていくんだろうと思います。こういう少し歪だけど何よりも綺麗な絆が大好きなので、そう言っていただけて嬉しいです!文才はすずめの涙程しかないのでご勘弁を(笑) (2021年10月31日 20時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
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